研究実績の概要 |
・カタユウレイボヤの心臓組織における HCN チャネルの発現パターンをより詳しく調べるために、in situ hybridizationを行った。Ci-HCNa, b, c のうちで、RNAseqデータにおいてもっとも発現量が高かったCi-HCNcについては、前年度にin situ hybridizationによって発現を確認できたため、最終年度では、Ci-HCNa, bについてin situ hybridization法の検討を行った。結果として、カタユウレイボヤの心臓において、Ci-HCNa, bの明確な発現は確認できなかった。Ci-HCNa, bは、Ci-HCNcよりも発現量が低く、従来の手法では検出が難しいと判断した。より検出感度のいいRNAスコープなどの新しく登場した手法を今後検討する予定である。
・Ci-HCNcがPH領域の、Ci-HCNa, bがPV領域のリズム生成に果たす役割を明らかにするために、TALENを用いたゲノム編集による遺伝子発現阻害実験を行った。前年度に、共同研究者である筑波大学、笹倉靖徳教授のもとでTALENのコンストラクトを完成させた。その後、所属研究室において、エレクトロポレーション法を用いた、ホヤの受精卵へのTALENコンストラクトの導入法の条件検討を進めた。最終年度に、その導入法を用いた評価系を確立させた。その評価系を用いて、最終年度に、Ci-HCNcの発現を心臓特異的に阻害する実験を進めた。その結果、Ci-HCNcがカタユウレイボヤの心臓において、拍動リズム生成と拍動反転を制御する分子メカニズムに関与することが示唆された。
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