現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
KIF1Aの変異体を大腸菌から発現、精製する際に、大腸菌由来の核酸のコンタミネーションが頻繁に発生し、ゲル濾過クロマトグラフィーを行うと発現タンパク質の全てがボイドピークに溶出されてしまっていた。精製時にストレプトマイシンと混合して遠心を行うことで、ある程度の核酸を取り除けることがわかり、この手法で全てのKIF1A変異体を精製することに成功した。一分子計測では、全てのKIF1A変異体がATP活性を持ち微小管プラス端方向への移動を見せたため、変異体の速度や走行距離などの1分子パラメータの解析、及び変異体間の比較を容易に行うことができた。DNAオリガミとキネシンの複合体設計に関しては、両者の結合効率の悪さがこれまでの先行研究で問題となっていたが、先行研究では使用されていない別のアフィニティタグを導入することで結合効率の改善も図ることができた。DNAオリガミとキネシン複合体の設計は来年度以降の目標であったため、今年度は当初の計画以上の進展があったといえる。また、KIF1A 1分子と軸索輸送の関係性を明らかにするためには、KIF1Aの分子メカニズムについて深く知る必要があると考え、KIF1Aの歩行メカニズムを説明する数理モデルを構築したほか、そのオルソログであるUNC-104の活性化メカニズムの解明にも取り組み、どちらも論文にまとめて発表をすることができた。(Kita et al., Biophysical Journal, 2023、Kita et al., eLife, 2024)
|