研究課題/領域番号 |
23KJ0184
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 衡平 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | エアロゾルデポジション / 圧電 / 磁歪 / 電磁効果 / 環境発電 |
研究実績の概要 |
本年度はセラミックスの室温成膜が可能なエアロゾルデポジション(AD)法を利用し,磁歪材料であるFeCo/Niクラッド材にチタン酸バリウム圧電厚膜を形成した.まず,磁歪基板上に成膜すると磁歪特性がどのように変化するかを調査したところ,Ni面のみに成膜することで磁歪量が大きくなることが確認された. 続いて圧電膜による発電特性の調査を行った.過去の研究では,チタン酸バリウム圧電膜に1000℃近くの熱処理を行わないと高い圧電効果が得られなかった.そこで,コロナ放電分極による高電場の印加によって未熱処理のチタン酸バリウムを分極し,熱処理膜と比較すると小さいがd33メータでの圧電効果の確認ができた.また,試料を片持ち梁形式で治具に固定し,強制変位を開放することによる減衰振動によって発電を確認することができた. 次に圧電効果と磁歪効果の両方を利用する発電実験のために,試験片をコイルの中に入れて行うことで磁歪効果による磁束密度変化を利用した振動発電を行った.その結果,磁歪効果による発電は圧電効果に影響を与えず,圧電効果および磁歪効果の両方から発電することに成功した. 最後に,磁場変化からの発電という環境発電に注目し,磁歪材料と圧電材料の電磁効果を検証した.外部の磁場変化を磁歪材料がひずみに変換し,そのひずみを圧電材料が電気に変換することによって,圧電材料上の電極から電気を取り出すことを確認した.印加した磁場の値と得られた電圧から電磁係数αを計算すると,従来の材料と同等の値を示したことから,室温で形成された圧電膜と磁歪基板による新たな電磁デバイスの可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,エアロゾルデポジション法によって磁歪基板に圧電膜を形成することに成功し,電磁効果の検討を行えた.
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今後の研究の推進方策 |
電磁効果の再現性の確認やシミュレーションを行う.また,高分子基盤を利用したフレキシブル圧電デバイスの開発に挑戦する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は国際学会の参加や論文執筆の関する諸費用がなかったため,予算よりも少ない支出となった.今年度は装置の購入や国際学会への参加,論文執筆諸費用等の支出が予想される.
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