現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
課題1. レインボーフィッシュのモデル生物化 モデル生物として広く用いられているゼブラフィッシュやメダカには棘条ヒレが存在しないため、本研究では新規モデル生物としてレインボーフィッシュを用いる。今年度には、レインボ ーフィッシュの発生ステージ表の作製と分子遺伝学技術の確立を行った。発生ステージ表では 背鰭の鰭条骨の有無を基準として成長段階を判別出来ることを示し、これを国際誌で発表した (Miyamoto et al., 2023a, Dev. Dyn.)。分子遺伝学技術に関しては、メダカの手法を応用することでTol2トラ ンスポゾンシステムとCRISPR/Casシステムを用いた遺伝子編集技術を確立し、その手法を国際誌で発表した (Miyamoto et al., 2023b, Dev. Dyn.)。 課題2. 背鰭間充織の移入範囲の決定メカニズムの解明 申請者は、ゼブラフィッシュを用いた背鰭形成領域に特異的に発現する遺伝子の探索の結果、 いくつかの背鰭間充織の移入範囲の決定に関わる候補遺伝子を申請時点で検出していた。これらの遺伝子のうち、ノックアウトによって背鰭の形成が起こらなくなるものや背鰭形成領域に 特異的に発現するものが含まれていることを新たに明らかにした。 課題3. 棘条の骨形成に関わる構造タンパク質動態の解明 棘条の形成領域での構造タンパク質の染色や課題1で確立したCRISPR KO技術・薬剤処理などを用いることで、棘条の形成メカニズムに関して多くの情報を取得することが出来た。この結果、棘条の形成メカニズムは軟条のものとは大きく異なることが明らかになった。さらに、形態が変形した棘条を持ついくつかの魚種で細胞の分布を観察した結果、棘条の形態多様性が高いことに申請者が明らかにした棘条特有の形成メカニズムが関わっている可能性が示唆された。
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