研究課題/領域番号 |
23KJ0221
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
津田 路子 東北大学, 医工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | 粒子線がん治療 / 二次電子制動放射線 / ビームイメージング |
研究実績の概要 |
粒子線がん治療で治療中にビームの照射位置が確認できれば、治療効率および安全性の向上が期待できるため、ビームイメージング技術は世界的に研究が進められている。治療ビームは腫瘍に対して3次元的に照射されるため、得られる画像も3次元であることが必要である。そこで、本研究では、治療ビームを二次電子制動放射線を測定することにより、リアルタイムかつ3次元画像として取得する技術を開発する。 今年度は、3次元画像の取得のためモンテカルロ計算コードPHITSを使用してシミュレーション環境を構築した。この環境を利用して、均一なアクリル標的に対する治療ビームの照射を行い、標的内のビーム軌跡上に発生する二次電子制動放射線をピンホール型X線カメラで複数方向から捉えた。さらに、収集されたデータにフィルタ補正逆投影法を適用することで、ビームの3次元画像を得ることが可能となった。この方法により、照射されたビームの精密な三次元的位置と形状を視覚化することができた。さらに、シミュレーション結果から、測定装置が持つ固有の分解能および標的内での二次電子制動放射線の散乱が、ビーム像の広がりの要因と見られることを確認した。この広がりを補正することができれば、より精密な画像の取得が可能であると考えられる。 X線カメラの製作においては、初期の計画では半導体検出器の使用を予定していた。しかし、シミュレーションの結果、シンチレーション検出器を使用しても目的の達成が十分可能であることが明らかになったため、検出器の種類を変更することを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りにシミュレーションおよび画像再構成プログラムの作成が進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションで得られた結果をもとに、コリメータを製作し、カメラの構築および照射実験の準備を進める。また、シミュレーションにて、角度制限を設けた状態でデータの取得を行い、逐次近似画像再構成法の適用を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時には半導体検出器を使用した測定を前提としてコリメータの制作及びカメラの構築を計画していた。しかし、シミュレーション結果からシンチレーション検出器でも目的達成に十分と判断されたため、検出器の変更を決定した。この変更に伴い、新たな検出器に適したコリメータの設計およびカメラの構築に追加の時間を要することとなった。このため、計画されていた予算の使用が次年度に持ち越される形となった。
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備考 |
PET Autumn Seminar 2023 Best Presentation Award 受賞
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