• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

睡眠欲求とは何か:その分子実体を解明する

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0286
研究機関筑波大学

研究代表者

正木 みのり  筑波大学, グローバル教育院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
キーワード睡眠 / 睡眠要求 / ラマン顕微鏡
研究実績の概要

所属研究室では、ランダム点突然変異を持つ膨大な匹数のマウスを用いて、 睡眠異常という表現型をもとに原因遺伝子を探索するスクリーニングに挑戦してきた。これによりノンレム睡眠時間と、睡眠要求の指標となるノンレム睡眠時デルタ波を共に大きく変化させる遺伝子として「SIK3」と「HDAC4」を発見することに成功している。さらに、 SIK3がHDAC4をリン酸化することで転写抑制機能を制御していることが判明し、スクリーニングで別々に見つかった2つの遺伝子が直接関係していることから、このpathwayが睡眠制御において重要な位置を占めることが示唆された。近年、このSIK3とHDAC4の下流に位置する分子としてNPAS4が見つかった。この分子は神経回路を抑制性に制御し記憶や報酬系に関わることが知られているが、睡眠制御における役割は未知であった。
そこで申請者はNPAS4の睡眠制御における役割を明らかにするため、NPAS4ノックアウトマウスや領域特異的にノックアウトさせたマウスにおける睡眠解析を行うと同時に、蛋白質、脂質、核酸の分布や組成変化を検出する強力なツールであるmultiplex CARS顕微鏡を用いて、睡眠要求上昇時に起こる細胞レベルの代謝変化を捉えることを目指している。
本年度は、まずNpas4が睡眠表現型に影響を与えるかどうかを明らかにすることを予定した。そして実際にNPAS4ノックアウトマウスで睡眠解析を行ったところ、睡眠表現型が変化していることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述の通り、NPAS4ノックアウトマウスの睡眠解析を行ったところ、NPAS4ノックアウトマウスでは睡眠要求が上昇していることが明らかになり、NPAS4が記憶や報酬系だけでなく睡眠においても重要な役割を担っている可能性が示唆された。さらにmultiplex CARS顕微鏡を用いた観察を次年度以降行うため、本年度は計画通り顕微鏡の作成を行い、初代培養神経細胞の観察を行えるよう組み上げることができた。以上から、概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は、Npas4が細胞内でどのような機序で睡眠を制御しているかを明らかにするために、Npas4と相互作用する分子のノックダウンで睡眠表現型が変化するかどうかを調べる。加えて、Npas4と睡眠を変化させた際の神経細胞の変化を免疫染色で調べると同時に代謝変化をmultiplex CARS顕微鏡を用いて観察することを計画しており、Npas4が細胞レベルからどのように”眠気”を制御しているのか解明していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 睡眠健診事業における大規模な睡眠計測データを用いた医師判定の自動化2023

    • 著者名/発表者名
      正木みのり
    • 学会等名
      日本睡眠学会第45回定期学術集会合同大会
  • [学会発表] 睡眠遠隔医療をサポートする脳波AI/IoT技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      正木みのり
    • 学会等名
      日本睡眠学会第45回定期学術集会合同大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi