研究課題/領域番号 |
23KJ0484
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
曹 達 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | 床衝撃音 / 乾式二重床 / 有限要素法 / 建築音環境 / 音響振動連成解析 |
研究実績の概要 |
本研究は,乾式二重床における床衝撃音発生メカニズムの解明を実現し,さらに乾式二重床の床衝撃音低減性能に関する高精度数値予測手法の構築を目標としてる。 初年度はまず,乾式二重床の各部材(支持脚,床面材)の物性値を測定し,各部材のモデル化手法を確立した。特に,支持脚には小試験体を制作し,支持脚の動的ばね定数を測定した。これらの物性値とモデル化手法を壁式実験室を模擬した数値モデルに導入し,乾式二重床の振動レベル低減量に関する数値解析を行い,二重床の床衝撃音低減メカニズムを解明した。 次に,乾式二重床端部に設置される空気抜きに関する検討を行った。実大二重床での実験により,空気抜きの主な効果は63 Hz帯域以下にあることを確認した。また,小試験体実験により,空気抜きによる具体的な影響を解明した。さらに,オリフィスを模擬した空気抜きの理論モデルを提案し,空気抜きによる床衝撃音低減現象を解明sた。 最後に,標準衝撃源のタイヤとボールによる乾式二重床の床衝撃音レベル低減量の変化に関する検討を行った。実大二重床を対象とした実験により,床衝撃音レベル低減量の変化を起こした乾式二重床の非線形性は二重床支持脚にあることを確認した。さらに,数値解析により,床衝撃音レベル低減量が変化する主因は支持脚の金属ボルト,防振ゴムと床スラブ三者間の拘束が不足であることを確認した。 初年度では主に床スラブ上にある乾式二重床構造に着目したが,次年度には床スラブ下の受音室空間を解析モデルに導入し,実住宅における乾式二重床の床衝撃音低減性能に関する数値解析的検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は乾式二重床の床衝撃音発生メカニズムの解明を目標としてる。予定通りに,二重床の各部材,各種非線形性要因などをモデル化手法を提案した。これらにモデルにより,二重床の床衝撃音発生機構の傾向を解明し,数値解析プログラムの開発を概ね完成した。研究成果の一部は学会で発表し,次年度に査読論文として投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実住宅における乾式二重床の床衝撃音低減性能の傾向を把握し,受音室および壁を含めた数値解析プログラムを完成する。以上のプログラムを使用し,二重床工法である床先行・壁先行の影響を解明する。並行に,高性能な床衝撃音低減性能を持つ二重床の開発に向けて,実験・数値解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度には計算機や実験機材の購入を検討していたが,研究室所有の計算機や共同研究先の施設・設備などを用いて研究を進めることが可能であることから,次年度に購入を行う予定である。
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