申請者は、ポリフェノールがタンパク質修飾を介して健康機能性を発揮するという仮説を検証している。これまでに以下3点を明らかにし、Journal of Biological Chemistry誌に論文を投稿している。 (1) ポリフェノールはタンパク質を修飾し、酸化型リジン構造及びアダクト構造を生じる。 (2) ポリフェノール修飾タンパク質はヒストンと相互作用する。 (3) ポリフェノール修飾タンパク質とヒストンの相互作用はヒストン誘発性の細胞障害を緩和する。 以上を踏まえ、本年度は各項目についてより詳細な検討を試みた。まず、ポリフェノール修飾タンパク質とヒストンの相互作用についてアミノ酸モデル化合物を用いた検討を行った。その結果、シッフ塩基の形成あるいはカチオン-π相互作用によってヒストンとの相互作用が生じることを見出した。次いで、ビオチンラベル化エピガロカテキンガレート(Bt-EGCG)を用いた検討を行った、その結果、生理条件下に近い環境でもポリフェノールがタンパク質を修飾すること、また反応時間に比例してヒストン結合性分子が生じることを見出した。さらに、これまでポリフェノールのモデルとして用いていたエピガロカテキンガレート(EGCG)以外のポリフェノールについても検討を行った。その結果、EGCGに限らず、ピロガロール構造を含むポリフェノールの多くがヒストン結合性分子を生じ、ヒストン誘発性の細胞障害性を緩和することを見出した。以上の結果は、ポリフェノールがタンパク質修飾を介して健康機能性を発揮するという仮説を支持するものである。
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