研究課題/領域番号 |
23KJ0648
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関根 雅 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
キーワード | 平均場ゲーム理論 / 資産価格形成理論 / 数理ファイナンス / 確率最適制御問題 / 後退確率微分方程式 |
研究実績の概要 |
本研究は、平均場ゲーム理論を用いて証券の均衡価格を内生的に記述できる理論モデルを構築することを目的の一つとしている。 令和5年度は、指数型効用をもつ多数の異質なエージェントが参加する非完備市場における証券のリスクプレミアム過程を内生的に導出する理論モデルの研究を行った。特に、エージェントは初期資産、リスク回避度、終端における負債に関して異質性を持つと仮定し、これによりモデルには市場全体の金融ショックのみならず、各エージェントに特異なショックも含めることが出来ることとなった。この研究ではまず、確率最適制御に関する既存の研究結果を本研究の設定に当てはめるために一部拡張し、その上で最適戦略を特徴付ける2次成長後退確率微分方程式を導出して、その可解性を証明した。この結果をもとに市場均衡を新しい型の平均場型2次成長後退確率微分方程式の観点から特徴付けた。この研究の主な貢献は、一定の条件下でその方程式が解を持つことを証明したことと、その解が多人数極限において実際に市場均衡を達成することを証明したことにある。 この結果は今後、より現実の市場に即した理論モデルを構築する上の基礎として重要な役割を担うこととなると期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平均場ゲーム理論を用いた資産価格形成モデルについての論文を国際誌に投稿し、現在査読中である。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究結果の拡張として、各エージェントの消費行動及び習慣形成を考慮したモデルを構築している。また、今後は情報設定の一般化やジャンプ過程の導入など設定をさらに一般化し、より応用範囲の広い理論モデルの構築に挑戦する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額711円は本研究遂行のために必要な物品を一式購入した上で生じた端数である。令和6年度の経費支出の際に速やかに費消されるものと期待される。
|