研究課題/領域番号 |
23KJ0772
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊邉 萌 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | タンパク質内電子移動 / ケミカルバイオロジー |
研究実績の概要 |
タンパク質内電子移動は、医薬標的とされているリボヌクレオチドレダクターゼを代表とする酸化還元を担う酵素においてみられる現象である。そのため、本現象の理解や制御は、基礎研究に限らず医薬応用への展開が期待される。それにも関わらず、タンパク質内電子移動の機構解析は、一部酵素を除いて未解明な点を残している。 そこで我々は、タンパク質内電子移動に着目し、本現象のプローブを開発するために研究に着手した。つまり、複数のアミノ酸側鎖を介した電子移動現象に対して、チロシンやトリプトファンを標的とした化学選択的な有機反応を用いることで、電子移動時の電荷の偏りを観測することを提案した。 今年度は、プローブ開発にあたり量的供給が可能な電子移動モデルペプチドの構築を試みた。まず、ペプチド骨格の選択をおこない、次に電子移動開始部位の探索をおこなった。電子移動開始部位としては、CTバンドへの光照射により電荷分離を引き起こす電荷移動錯体を用いることで効率的なペプチド分子内電子移動を観測できると考えた。更なる種々検討の結果、最終的に、時間分解過渡吸収測定により所望の電子移動時に生じると考えられるラジカル種の生成を確認できた。本結果により、タンパク質内電子移動モデルペプチド構築の足がかりを得ることができた。そのため、今後は詳細な機構解明を行ったのちに、化学選択的な有機反応を用いたプローブ開発を行い、より生体内へと近づけた条件へと展開していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、モデルとなりうるペプチド骨格を見出すことができた。また、過渡吸収を用いたラジカル種の生成を確認できた。以上の2点により、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、早期のモデルペプチド構築を行い、その後に構築した系においてチロシンやトリプトファンに対する化学選択的反応を用いたプローブの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究途中のため、学会参加等の費用が生じなかったため次年度使用額が生じた。翌年度以降に研究成果を発表する際に助成金を使用する。
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