研究課題
本研究は、化石に含まれる生体高分子から古環境・古生態・系統関係を復元することを目的としている。研究開始以来、予定通り順調に進捗しており、以下に具体的な進展状況を報告する。まず、フィールドワークにおいて、予定通り化石サンプルと現生個体の採取を実施しました。福井県恐竜化石発掘調査に参加し、化石サンプルを数多く採取した。これらのサンプルについて、電動ルーターとサンドブラスターを用いて母岩を除去し、EDTAやフッ酸水溶液を用いた脱灰処理を行い、有機質化石を抽出することに成功した。これにより、サンプルの初期処理段階を順調にクリアし、次の分析ステップに移行している。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、化石サンプルおよび現生個体の微細構造の観察を行いました。その結果、複数の化石サンプルにおいて、現生個体にも見られる微視的分類形質が確認された。特に、貝殻表面の微細構造において、系統的特徴を持つ形質が明確に観察された。これにより、ナノスケールの新規系統学的形質の探索において、確かな成果を得ることができた。さらに、化石サンプルから抽出した生体高分子の同定・分析も進展している。FT-IRおよび蛍光顕微鏡を用いて、キチン分子の同定を行い、保存状態や分布について詳細なデータを収集した。特に、化石サンプル中のキチン質が良好に保存されていることが確認され、バイオミネラリゼーションの進化を探る上で貴重な知見を得ることができた。また、透過型電子顕微鏡を用いて、結晶内部や表面における生体分子の取り込み状況を解析することにより、結晶学的作用の詳細な理解を進めている。以上のように、本研究は計画通り順調に進捗しており、当初の目的である古環境・古生態・系統関係の復元に向けた重要な成果を得つつある。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究は、研究開始以来、予定以上に順調に進捗している。その理由として、第一に、フィールドワークの成功が挙げられる。福井県恐竜化石発掘調査に参加し、計画通りに多くの化石サンプルを採取しました。現生個体の採取も順調に進み、特に化石サンプルの質と量が予想以上に良好であったことが大きな要因である。このように質の高いサンプルが豊富に得られたことで、初期処理段階の効率が向上し、EDTAやフッ酸水溶液を用いた脱灰処理をスムーズに進めることができた。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた微細構造の観察が非常に効果的であったことも挙げられる。化石サンプルおよび現生個体の微細構造の観察により、複数の化石サンプルで現生個体にも見られる微視的分類形質が確認された。特に、貝殻表面の微細構造において、系統的特徴を持つ形質が明確に観察されたことは、大きな成果といえる。この結果により、ナノスケールの新規系統学的形質の探索が計画以上に進展し、確かな成果を得ることができた。さらに、生体高分子の同定・分析が計画以上に進展したことも理由の一つである。FT-IRおよび蛍光顕微鏡を用いたキチン分子の同定が成功し、保存状態や分布について詳細なデータを収集した。特に、化石サンプル中のキチン質が良好に保存されていることが確認され、バイオミネラリゼーションの進化を探る上で貴重な知見が得られた。また、透過型電子顕微鏡を用いて、結晶内部や表面における生体分子の取り込み状況を詳細に解析することで、結晶学的作用の理解が大きく進展した。これらの要因により、本研究は当初の計画以上に順調に進捗しており、古環境・古生態・系統関係の復元に向けた重要な成果を得つつある。質の高いサンプルの確保と効果的な分析手法の適用により、計画以上の進展が可能となり、今後もさらに意義深い成果が期待される。
今後の推進方策として、以下の点に重点を置く。まず、フィールドワークを継続し、異なる地質時代や地域からの化石サンプルを収集することで、データの多様性を確保する。サンプルの初期処理に関しては、既存の手法を継続しながら、新たな技術や方法の導入も検討する。次に、分析技術の高度化を図る。現在使用しているSEMやFT-IR、透過型電子顕微鏡に加え、さらに高度な分析機器の導入を検討し、生体高分子の詳細な構造や保存状態をより正確に把握する。また、収集したデータを基に古環境・古生態の復元モデルを構築し、総合的なデータ解析を進める。進化系統の解析についても、得られたデータを基にした系統樹の作成を進める。さらに、他の研究機関や専門家との共同研究を推進し、知見や技術の共有を図る。異分野とのコラボレーションを通じて、新たな視点や方法を取り入れることを目指す。研究計画の変更や課題に対する対応策として、サンプルの多様化を図るために異なる地域からのサンプル収集を強化し、データの一般性と信頼性を高める。分析機器の限界に対しては、メンテナンスや新しい機器の導入を検討し、他研究機関の施設を利用するなどの手段を取る。データ解析の複雑化には、データサイエンティストとの協力や新たな解析ソフトウェアの導入を進める。最後に、研究資金の確保のために追加の助成金申請や民間企業との共同研究を通じて資金調達を図る。これらの方策と対応策を実施することで、研究の進捗を加速させ、当初の目的達成に向けて着実に進めていく。
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CrystEngComm
巻: 25 ページ: 4213~4218
10.1039/D3CE00177F