研究課題/領域番号 |
23KJ0942
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
出口 直人 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | 圧縮性Navier-Stokes方程式 / 安定性解析 / 長時間挙動 / べソフ空間 / 関数方程式論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は圧縮性粘性流体の空間非一様な基本流周りの安定性理論を確立することである。2023年度の研究により以下の結果を得た。 (1)3次元全空間において圧縮性Navier-Stokes方程式の小さい定常解の安定性解析を行なった。まずは小さい定常外力の下で対して定常解の存在をべソフ空間の枠組みで示した。次に定常解周りの摂動問題を定常解を含むような初期摂動のクラスで解くことで定常解が安定であることを示し、さらに摂動の時間大域的な減衰レートとして最適なものを導出することができた。証明においては摂動を高周波成分と低周波成分に分解し、低周波成分はべソフ空間における時空積分評価と双対性を用いた評価を行い、高周波成分はべソフ空間でのエネルギー法を用いて評価を行なった。この結果は学術誌Math.Annに掲載予定である。 (2)流体の圧縮性を示す指数であるマッハ数をゼロに近づけたとき、少なくとも形式的には圧縮性Navier-Stokes方程式の解は対応する非圧縮性Navier-Stokes方程式の解に収束する。このゼロマッハ数極限の結果を圧縮性Navier-Stokes方程式の定常解及びその摂動に対して数学的に厳密に証明することができた。これまではDanchin 2002による時刻無限大で減衰するような外力の影響下での結果が知られていたが。今回新たに示した結果により時間に依存しない定常外力の影響下で結果を得ることができた。この結果は現在投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧縮性Navier-Stokes方程式の空間非一様な基本流周りの安定性解析の第一歩として、3次元全空間において小さい定常解の安定性及び摂動の時間減衰評価を示すことが出来ため(2)の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
応用上有益な外部領域で流れのある基本流の安定性解析を行うことで領域の境界が基本流の安定性に影響を及ぼすかを明らかにする。圧縮性Navier-Stokes方程式と関連が深い方程式にボルツマン方程式があるが、この方程式に対しても流れのある基本流の安定性理論の確立を試みる。
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