研究課題/領域番号 |
23KJ1030
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
亀谷 匠郁 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | 大脳皮質 |
研究実績の概要 |
ヒトの大脳は、マウスなどの大脳に比べて著しく発達していることが特徴的である。大脳は肥大化し、大脳表面には脳回や脳溝からなるシワ構造を獲得し、また様々な神経線維連絡も複雑化しており、これらの変化は高次脳機能の獲得に重要であったと考えられている。このような進化的な変化を制御する分子メカニズムの研究はマウスのみでは研究が困難であることから、我々は比較的大脳が発達している食肉類哺乳動物であるフェレットを用いた研究を推進している。本研究では、発達した大脳でみられる大脳表面のシワ構造と脳脊髄液循環システムの関係を解析している。フェレットを用いて、巨大化・複雑化した大脳の脳脊髄液循環システムの特徴について解析したところ、新たな脳脊髄液の循環パターンをフェレットの大脳で見いだすことができた。そこで現在、その循環の制御メカニズム、シミュレーション解析による生理的意義を検討している。脳脊髄液の循環を制御する可能性のある遺伝子について、フェレット大脳でのそれらの発現パターンを免疫組織染色およびin situ hybridization法で解析したところ、脳脊髄液循環パターンと発現分布が一致する遺伝子群を見いだすことができた。またフェレットを用いた脳脊髄液循環パターンのデータからパラメータを推定し、脳脊髄液の循環のシミュレーション技術を作成している。このシミュレーション技術を用いて大脳形態と脳脊髄液の循環パターンとの関連を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食肉類哺乳動物であるフェレットを用いて、巨大化・複雑化した大脳の脳脊髄液循環システムの特徴について解析したところ、新たな脳脊髄液の循環をフェレットの大脳で見いだし、その循環の制御メカニズム、シミュレーション解析による生理的意義を検討している。脳脊髄液の循環を制御する可能性のある遺伝子について、フェレット大脳でのそれらの発現パターンを免疫組織染色およびin situ hybridization法で解析したところ、脳脊髄液循環パターンと発現分布が一致する遺伝子群を見いだすことができた。またフェレットを用いた脳脊髄液循環パターンのデータからパラメータを推定し、脳脊髄液の循環のシミュレーション技術を作成している。このように研究は順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
脳脊髄液の循環を制御する可能性のある遺伝子について、フェレット大脳でのそれらの発現パターンの免疫組織染色およびin situ hybridization法を用いた解析を継続する。また、脳脊髄液循環パターンと発現分布が一致した遺伝子群については、機能解析を行い、実際に脳脊髄液循環に関わる遺伝子を同定する。またフェレットを用いた脳脊髄液循環パターンのデータからパラメータを推定し、脳脊髄液の循環のシミュレーション技術を作成しているので、継続することにより、脳脊髄液の循環の全体像を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳脊髄液の循環を制御する可能性のある遺伝子について、フェレット大脳でのそれらの発現パターンの免疫組織染色およびin situ hybridization法を用いた解析を行っており、この結果が出た後に、フェレットを購入し機能解析実験を行う予定となっている。当初の予想よりも免疫組織染色およびin situ hybridization法の実験に時間がかかっており、フェレットを用いた機能解析実験が次年度になったために次年度使用額が生じた。
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