研究課題
本研究では,グラフ構造パラメータと述語論理を通して,グラフの構造と問題計算容易性おおよび困難性との関係性を明らかにすることを目標としている.本年度は述語論理によるメタアルゴリズムを得るための前調査として,(a)グラフ構造パラメータを利用したアルゴリズム高速化手法,と (b)グラフ構造パラメータ自体の計算手法,の二つの方針を中心として研究を進めた.得られた研究成果の一部をまとめた成果として,国際会議IPEC2023に1件,WALCOM2024に4件の論文が掲載された.(a)の成果としては,クラスタ頂点消去数をパラメータとしたバンド幅最適化問題に関する研究成果や,パス幅などのパラメータと木のマイナー埋め込みに関する研究成果,最大次数とグラフパッキング問題に関する研究成果を得ることができた.この成果を通して,様々な構造パラメータを利用したアルゴリズム設計技法や計算困難性の証明技法について,数多くの新たな知見を得ることができた.また,(b)の成果として,グラフ構造パラメータの一つである頂点インテグリティ自体の時間計算量に関する研究や,グラフの燃焼数というパラメータをできる限り大きくする向き付けを与える問題の研究などを行い.後者の研究成果の一部は,よく知られている単項二階述語論理と木幅に関するメタアルゴリズムの結果を応用して得たものであり,単項二階述語論理の表現能力や応用性に関する新たな知見を得ることができた.
1: 当初の計画以上に進展している
様々なグラフ問題に対しての研究成果をまとめた論文が国際会議に計5本採択されるなど,想定よりも多くの成果を得ることができている.
得られたグラフ構造パラメータとアルゴリズムに関する研究成果などをもとに,今後は主に述語論理を用いたメタアルゴリズムについて研究発展を目指す.
本年度は,参加した国際会議が日本で開催されるなど,予定していた海外出張が少なく,次年度使用額が生じた.生じた次年度使用額は,海外旅費への充当や図書の購入などを計画している.
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件)
IEICE Transactions on Information and Systems
巻: E107.D ページ: 328~330
10.1587/transinf.2023FCL0002
The 18th International Conference and Workshops on Algorithms and Computation (WALCOM 2024), Lecture Notes in Computer Science
巻: 14549 ページ: 421~435
10.1007/978-981-97-0566-5_30
巻: 14549 ページ: 406~420
10.1007/978-981-97-0566-5_29
巻: 14549 ページ: 392~405
10.1007/978-981-97-0566-5_28
巻: 14549 ページ: 377~391
10.1007/978-981-97-0566-5_27
Algorithmica
巻: 86 ページ: 147~170
10.1007/s00453-023-01161-9
18th International Symposium on Parameterized and Exact Computation (IPEC 2023). Leibniz International Proceedings in Informatics
巻: 285 ページ: 21:1~21:15
10.4230/LIPIcs.IPEC.2023.21