研究課題/領域番号 |
23KJ1106
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大橋 咲南 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | mRNA / 翻訳 / 化学修飾 / 塩基変換 |
研究実績の概要 |
「高翻訳mRNAのセレクション及び塩基変換を利用した修飾位置特定技術の開発」という研究課題のもと、昨年度は主に高翻訳mRNAのセレクション手法の開発に取り組んだ。 高翻訳能を有するmRNAの配列を探索した研究は多く報告されている。しかし、ランダムな配列を有するmRNAから、高い翻訳能を示すもののみを選択的に回収する方法はあまり報告がなく、新規手法を開発する必要性がある。また、本研究で使用するmRNAの将来的な用途としては、ヒトへの投与を目的としており、原核生物よりも複雑な真核生物の系を用いて翻訳を行う必要がある。そのため本研究では、高翻訳mRNAのセレクションに使用できると考えた5種類の方法を実際に試し、そのうち、実際にセレクションに使用できる可能性が示されたものについては条件の検討についても取り組んだ。昨年1年間で新規セレクション手法の探索及び条件最適化を行い、今年度にはその最適条件において実際にランダムな配列を有するmRNAライブラリーから、翻訳能が高いと思われるmRNAのみを回収・次世代シーケンサーを用いた配列解析を行う。ここで得られた配列情報を基に、翻訳能が高い、普通、低いと思われるmRNAを調製し、実際にそれらの翻訳量を測定することで、今回開発するセレクション手法が高翻訳mRNAの回収に有効かどうかの確認を行う。 また塩基変換を利用した修飾位置特定技術の開発については、昨年度中に塩基変換効率が低下してしまう原因の探索に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今までに報告された高翻訳mRNAをセレクションするための手法はその数が限られている。また、原核生物の無細胞系であればよく研究されているが、本研究では最終的に人に対して投与するmRNAを想定しているため、より系が複雑となる真核生物の翻訳系の使用が必須になる。このような理由のため、新しい手法の開発に取り組んできたが、予想とは異なる結果が得られることも多く、セレクション系の確立に時間を要している現状である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行ってきた'高翻訳mRNAのセレクション手法の確立'と'塩基変換を用いた化学修飾位置特定手法の確立'に取り組む。 これまでにセレクション手法の確立については条件の最適化などを行い、今後は実際にランダムな配列を用いて、mRNAの翻訳能を高めることができる配列の探索を行う。また、修飾位置の特定手法に関しては、引き続き塩基変換効率が低下する原因探索、および変換効率改善を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年は研究を遂行や論文執筆に力を入れており、対外的な活動 (海外で開催される国際学会や留学)には取り組まなかった。国内学会参加には研究費を使用したが、余剰分が出てしまったと考えられる。 今年度は、これまでに得られた成果をまとめて国際学会にも積極的に挑戦したいと考えており、研究費を使用して参加する予定である。
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