研究課題/領域番号 |
23KJ1231
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
土方 佑斗 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | 状態方程式 / 不安定核 / 密度分布 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、錫112と錫132における陽子・中性子密度分布の変化から、核物質の状態方程式における対称エネルギー項に強い制限を課すことである。密度分布の測定は、中間エネルギー(200-300MeV)における陽子弾性散乱の微分断面積測定により実現される。 本年度は、既に測定を成功させた錫132の陽子弾性散乱実験のデータ解析を主として行った。解析の結果得られた微分断面積は、平均場計算から得られる擬似密度分布をもとにした予測と類似しており、改めて測定が成功していることが確認された。また、得られた断面積から密度分布を抽出する方法について議論を開始した。 また、錫112の弾性散乱測定を実施予定である大阪大学核物理研究センター(RCNP)での準 備も行った。実験は基本的にRCNP WSコースでのグランドライデンスペクトロメータを中心とした標準セットアップで行う予定である。しかし、RCNPは2018年度から2022年度まで大規模な加速器のアップグレード工事を行っていたため、長期間使用していなかった測定器の再立ち上げを行う必要があった。申請者はこの再立ち上げ及び測定データの解析システムのアップグレードにも精力的に参加した。その結果、約5年ぶりのRCNPでのグランドライデンスペクトロメータを使用した共同利用実験が実現された。これにより、偏極イオン源の開発ができ次第、錫112弾性散乱実験を遂行できる見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
錫132の密度分布の導出は当初の計画通り進んでおり、理論計算との比較から信頼度の高いデータであることが確認できている。また、錫112の陽子弾性散乱測定も準備は概ね完了した状態になっている。
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今後の研究の推進方策 |
錫132の密度分布はまもなく導出できる予定である。本研究では、錫112と錫132の密度分布を両方使用して、核物質の状態法手式の議論を行うことを最終目標としているが、錫132単一のデータであってもその学術的価値は非常に高く、学術論文の投稿を行う。 また、錫112の陽子弾性散乱実験をRCNPで遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも、学会参加及び研究打合せにかかる旅費が多くなってしまった。そのため、購入を予定していたコンピュータについて、残額では十分な性能を確保することができなくなってしまった。よって、翌年度分の助成金と合わせて購入を行う予定である。
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