研究課題/領域番号 |
23KJ1240
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯田 康生 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | 極端台風 / 大気海洋波浪結合モデル / 台風海洋波浪相互作用 / 海面過程 / 台風強度 |
研究実績の概要 |
本研究では,大気海洋波浪結合モデルを用いて,過去の顕著台風に対して数値シミュレーションを行い,大気海洋相互作用の役割についての評価を進めている.モデル構築と大気モデルのみ,大気海洋結合モデル,大気海洋波浪結合モデルでの計算を実施した.日本に顕著な災害をもたらす極端台風の特性把握は重要であるため,近年日本に甚大な被害を与えた事例を含めた,強度やサイズ等が異なる特徴を持つ2018年台風20号21号,2019年台風15号19号を対象とした. 台風21号を対象にテストランを実施し計算設定の検討・見直しを行った.さらに大気モデル実験において初期値時間,3つの境界層スキーム,積雲対流パラメタリゼーションの有無・解像度ボーガスの有無の違いが強度にどのように影響するかを調べた.検討した計算設定をもとに4つの台風に対し大気のみ,大気海洋結合,大気海洋波浪結合の実験を実施した.波浪結合の際は,観測に基づいて提案されている粗度に関する3つのバルク式を用いてそれぞれ計算した. 台風トラックに関して,大気モデル実験でもおおむね良い結果であったが,結合モデル実験の方がより最良な結果を得た.強度に関して,台風の特徴によってスキーム応答が異なるが,大気モデル実験では中心気圧は過小,最大風速は過大評価する傾向にある.結合実験では中心気圧の再現に課題はあるが,最大風速は良好な結果が得られた.海洋結合のみの場合,最大風速を過小評価するが波浪結合することによって,最大風速の評価は改善され,海洋結合による強度低下が抑制される場合を確認した.海洋結合と海洋波浪結合の海面水温低下量は差異が小さく衛星観測と整合的であった.対象にした4つの台風は強度やサイズ等の特徴は様々であり,その特徴によってスキームによる影響,海洋および波浪の効果も異なることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気海洋波浪結合モデルを構築し,過去の顕著事例に対し大気モデルのみ,大気海洋結合モデル,大気海洋波浪結合モデルを用いて様々な計算を実施した. 台風に対する海洋および波浪の影響について解析を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
(1)海洋・波浪結合によるトラック及び強度の改善メカニズムを明らかにするために実施した数値計算に対し詳細な解析および観測との比較を行う. (2)最新のブイ波浪観測に基づいた海面過程のパラメタリゼーションを行い,モデルを改良し結合実験を実施する. (3)成果を国際会議で発表し,投稿論文としてまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究活動において追加で物品購入の必要が少なかったため. 次年度使用額は外付けSSD購入と旅費に充てる予定である.
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