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2023 年度 実施状況報告書

腸内細菌叢由来の代謝物は、どのように宿主脳機能に影響を与えるか

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1401
研究機関京都大学

研究代表者

君塚 夏実  京都大学, 医学研究科, 研究員

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
キーワード腸内細菌 / メタボローム解析 / 短鎖脂肪酸
研究実績の概要

本年度の計画通り、腸内細菌による代謝産物のバリエーション及びその中でも宿主へ移行する代謝産物の種類と量を把握するための実験を行った。
腸内細菌の主な栄養源である食物繊維の13C-15N標識体をマウスに経口投与し、糞便、門脈血、肝臓、心臓血を採取後、メタボローム解析を行った。食物繊維は水溶性のイヌリン、不溶性のセルロースを用い、解析にはLC-MS及びIC-MSを用いた。その結果、腸内細菌代謝産物の中でも特に門脈経由で宿主に吸収され、生理機能に影響を与える可能性の高いものが絞り込まれた。
また、主要な腸内細菌代謝産物である短鎖脂肪酸は宿主のエネルギー源として重要であるだけでなく、炎症性腸疾患などの腸管局所の疾患や、肥満や糖尿病などの全身性疾患の制御においても重要であることが知られている。本実験において、短鎖脂肪酸の中でも特に酢酸は、糞便、門脈血、肝臓、心臓血中から標識体(すなわち腸内細菌由来)として検出されたが、プロピオン酸や酪酸の標識体は糞便、門脈血からのみ検出された。この結果より、腸内細菌由来の酢酸は全身移行し、腸管と離れた組織の機能に影響を与え得るが、プロピオン酸や酪酸は一部門脈経由で肝臓に到達するもののほとんど全身移行しないことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

出産・育児休暇を取っていたため研究可能期間は4月から7月までの4ヶ月間のみであったが、その間にin vivoの実験を多く行い、自宅解析可能なデータを収集することで効率良く研究を遂行することができた。

今後の研究の推進方策

今後は、メタボローム解析の結果を元に、腸内細菌代謝産物の具体的な機能やメカニズムの同定段階に移行する。疾患モデルマウスへ投与し表現系の観察を行う。効果が見られた場合には受容体解析や培養細胞への添加を通し、詳細なメカニズムの同定に迫る。

次年度使用額が生じた理由

8月より出産・育児休暇に入っていたため、使用することができなかった。そのため来年に繰り越して使用したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Amino acid catabolite markers for early prognostication of pneumonia in patients with COVID-192023

    • 著者名/発表者名
      Rae Maeda, Natsumi Seki, Yoshifumi Uwamino, Masatoshi Wakui, Yu Nakagama, Yasutoshi Kido, Miwa Sasai, Shu Taira, Naoya Toriu, Masahiro Yamamoto, Yoshiharu Matsuura, Jun Uchiyama, Genki Yamaguchi, Makoto Hirakawa, Yun-Gi Kim, Masayo Mishima, Motoko Yanagita, Makoto Suematsu & Yuki Sugiura
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41467-023-44266-z

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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