研究課題/領域番号 |
23KJ1425
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瀬部 光 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | エネルギーハーベスティング / IoTデバイス / 環境発電 / 電源回路 / 極低電圧回路技術 / LSI / MOSFET |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,バッテリーレスなウェアラブルIoTデバイスに向けた電源回路技術の構築である.バッテリーに代わるエネルギー源として人体と大気の温度差を電圧に変換する熱電素子が注目されている.しかし熱電素子の出力電圧は低く,回路の電源に使うには低すぎるため,熱電素子の出力電圧を昇圧する電源回路が必要となる.また,バッテリーレスデバイスでは,安定した高電圧な電源が存在しないため,動作開始時には電源回路が熱電素子の低い出力電圧で動作開始しなければならない.さらに,低電圧では製造ばらつきの影響が大きくなり回路を安定して動作させることが難しい.これらの課題を解決する電源回路技術を創出する. 本年度は,動作開始のための信号を生成する低電圧発振器についての研究を行った.発振器の構成要素であるインバータについて二種類の低電圧技術を適用し,また再帰的に適用することで30 mV(0.03ボルト)という極低電圧での発振をLSIチップ上で実現した.また,動作開始のための低電圧昇圧回路について発表を行った.本回路では制御信号を生成するドライバ回路について低電圧化を行い,ばらつきによる性能への影響を検討し,実チップによる測定評価を行った.提案回路は60 mVの入力電圧に対して350 mVの振幅のクロック信号を生成し,56 mVの電源電圧でも動作することを確認した.さらに,動作開始のためのパルス生成回路について検討を進めた.そして,主となる昇圧回路について検討を進め,テストチップを測定し評価を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極低電圧での動作開始のための電源回路について発表を行った.さらに,動作開始のための信号を生成する低電圧発振回路について,30 mV以下の低電圧での動作を実証し,発表を行った.また,主電源回路についてもテストチップを作製し評価を行った.
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今後の研究の推進方策 |
今後は主電源回路について研究を進める.また,低電圧電源回路との結合も行う.
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