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2023 年度 実施状況報告書

自己選択的原子配列エピタキシーによる希土類添加半導体の光物性制御と光デバイス展開

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1442
研究機関大阪大学

研究代表者

竹尾 敦志  大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
キーワード非極性面 / ユウロピウム / LED
研究実績の概要

本研究では、物性的に高いポテンシャルが期待されながらも高品質結晶の成長が容易でない非極性面上の窒化ガリウム(GaN)に関して、有機金属気相成長の過程において希土類元素のEuを添加することで、成長表面の改善を誘起すると共に、Eu添加GaN赤色LEDの高輝度化を目指した研究を推進している。
今年度は、おもに半極性(20-21)GaN上にEu添加GaN赤色LEDを作製し、電流注入下での動作とその発光特性評価を行ことを主眼に研究を行った。これまでの研究から、Eu添加GaNの発光効率は、Euイオンの周辺局所構造に大きく左右されることが明らかになっており、とくにOMVPE7と呼ばれる酸素原子を近傍に持つEuイオンの発光効率が高いことが明らかになっている。本研究で作製した(20-21)GaN上にEu添加GaN赤色LEDでは、面方位の特性から酸素原子の取り込み量が多いことも一因となり、OMVPE7の発光割合が約三倍に増大したことが明らかになった。また、Euがクラスタリングすることによって生じる低効率かつブロードな発光を生じるOMVPE1, 2と呼ばれるEu周辺局所構造の形成が劇的に抑制され、結果として極めて半値幅の狭い室温高効率発光が得られることを見出した。同条件で作製した従来の(0001)上のEu添加GaN赤色LEDと比較して、電流注入下でのEuイオン励起効率を示す励起断面積は約二倍になり、波長積分発光強度も約三倍となることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、研究計画通り半極性(20-21)GaN上にEu添加GaN赤色LEDの実作と光学特性評価を実施した。通常の極性面である(0001)GaN上に作製した赤色と比較して、非極性面上成長ならではの酸素の取り込みを駆使して、意図的なEu周辺局所構造変化を誘起すると共に、線幅の減少やOMVPE7割合の増大など、発光機構の特徴的な変化を確認することができた。また、同条件で作製した従来の(0001)上のEu添加GaN赤色LEDと比較して、半極性(20-21)GaN上Eu添加GaN赤色LEDにおいて約三倍の積分発光強度を確認できるなど順調に研究は進んでおり、当初の計画から特段の遅れは生じていない。

今後の研究の推進方策

今後の展開としては、Eu添加を利用した表面構造の改質効果の検証と、同一非極性面基板上のフルカラー集積が挙げられる。同一基板上へのフルカラーLEDの作製には、赤・青・緑色LEDを縦型に積層する必要があり、厚膜な結晶を高品質に成長することが不可欠となる。これまでに、LED構造を成膜する前にEu添加層を成膜することによって、上部の結晶表面が著しく平坦になることを見出しているが、その詳細なメカニズムは明らかとなっていない。そのため、厚膜成長時にも平坦な表面を得る手法を確立するとともに、そのメカニズムの解明に取り組む。これら要素技術の確立により、縦方向積層型フルカラーLEDに向けた検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

光学実験に係る諸費用に関して、研究室別予算で購入した物品の共同利用などが可能となり、消耗品費などを抑えることができたため、次年度へ繰り越すこととした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Enhanced luminescence efficiency in Eu-doped GaN superlattice structures revealed by terahertz emission spectroscopy2023

    • 著者名/発表者名
      Murakami Fumikazu、Takeo Atsushi、Mitchell Brandon、Dierolf Volkmar、Fujiwara Yasufumi、Tonouchi Masayoshi
    • 雑誌名

      Communications Materials

      巻: 4 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1038/s43246-023-00428-6

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Ultrafast carrier dynamics in GaN:Eu LED structures studied by terahertz emission spectroscopy2023

    • 著者名/発表者名
      F. Murakami, A. Takeo, B. Mitchell, V. Dierolf, Y. Fujiwara, and M. Tonouchi
    • 学会等名
      32nd International Conference on Defects in Semiconductors (ICDS-23), Rehoboth Beach, Delaware, USA, September 10-15 (2023).
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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