研究課題/領域番号 |
23KJ1475
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 史和 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | テラヘルツ波 / レーザーテラへルツ放射顕微鏡 / テラヘルツ波放射分光法 / 窒化ガリウム / ユーロピウムドープ窒化ガリウム |
研究実績の概要 |
2光子励起システムの構築の前段階として、通常型のテラヘルツ(THz)波放射分光システムと励起波長励起波長走査型システムを組み合わせ、3次元的半導体構造内部のキャリアダイナミクス評価および材料/構造特性評価の基礎システムと解析手法の構築を行った。評価対象には窒化ガリウム超格子構造を用いた。希土類元素ユーロピウムをドープした層とノンドープ層を数nm厚みで交互に積層した構造を持たせ、その内部での注入キャリアの振る舞いを評価した。THz波放射特性と温度の関係から、超格子構造のドープ層・アンドープ層界面に形成される、伝導帯(価電子帯)エネルギーバンド不連続量を見積もることに成功し、半導体3次元構造の内部バンドダイアグラムを非破壊非接触で評価することが可能だと示された。従来この分野・材料に使用されてきたフォトルミネッセンス分光法による評価では欠陥の準位や分布を知ることが出来るが、電気的特性を得ることはであった。また、それらの技術は基本的表面近傍での情報しか抽出できず、超格子構造内部の情報抽出においてTHz波放射分光法が非常に有効な技術であることが示された この成果は多くの関心を集め、THz波分野最大の国際会議であるIRMMW-THzにおいてKeynote talkへと選ばれた他、アメリカデラウェア州での国際会議ICDS2023で議論を行い、Communications materials(IF 7.8)への掲載された。3次元構造評価技術確立を目指す本研究において、該当年度の成果は非常に大きな前進であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた2光子励起によるTHz波放射分光システムの構築には年度中に至らなかった。この点では、研究課題の進捗状況は一歩遅れていると考えられる。 一方、THz波放射の励起波長依存性・温度依存性を利用して窒化ガリウム超格子構造内部での電荷のふるまいの分析することに成功。さらにそこから構造内部のバンドダイアグラムを非破壊非接触で評価した。これらの成果は本研究の目指すところである半導体3次元構造の評価という点においては、非常に大きな進歩である。 上記の理由により、本研究課題は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの成果から、構造内部の電荷の動きに対する分析手法が示された。今後はさらに内部を詳細に評価、3Dマッピングなど高度な評価を可能とするため、2光子励起システムの構築へ取り組む。 現在課題となっているのは、2光子励起でのTHz波放射強度が弱いことである。検出感度を上げるためにテラスパイク(Teraspike: Protemics GmbH):近接プローブ型の検出器を導入する予定である。またより大きなエミッションが期待される窒化ガリウム/酸化亜鉛積層構造の作成を共同研究先へ依頼し、システム構築のためのベース試料として用いる。これによるシステムベースモデルを構築したのち、実際の評価試料に向けた最適化を行う。 窒化ガリウム縦型PNダイオード構造を評価対象に、半導体内部の接合部における電界強度と極性、またそのマッピングを行い、半導体3次元構造における非破壊内部評価、3Dマッピングを実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2光子励起システムの構築予定を当初予定していた時期から変更し、本年度は従来型のTHz波放射顕微鏡と波長可変励起の組み合わせによる構造内部の非破壊評価手法の開拓へと焦点を当てた。そのため新システム用の光学素子購入として予定していた分として次年度使用額が生じた。 次年度では物品費として主に光学素子(UV用ミラーとマウント、2倍波変調用のBBO結晶:計10万円程度)、THz波検出器(テラスパイク:35万程度×2)、レーザー消耗品等(10万円程度)の購入に使用予定。また4月中に国際会議への参加を予定しており、20万円程度の旅費をそこで使用予定。また残りの分はレーザー用消耗品、学会参加費、論文掲載費などへの使用を予定している。
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