研究課題/領域番号 |
23KJ1490
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂梨 公亮 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | 24Mg / cluster structure / alpha-condensed state |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、24Mgの6α凝縮状態を探索し、共鳴状態の生成断面積、エネルギー、崩壊幅を理論計算と比較することにより24Mgにおけるα凝縮状態を同定することでその普遍性を確立することである。申請者は既に、2022年度に日本原子力研究開発機構タンデム加速器施設を用いて12C+12C共鳴散乱実験を実施し12C+12C->24Mg*->6α反応の断面積を測定した。そこで、2023年度では、測定データの物理解析を行い24Mgの詳細な断面積と構造を調査した。解析の結果、Si検出器アレイで検出した3つのα粒子に対し不変質量法を用いて、 a) 12C + 12C -> 12C(0+_2) + X の包括断面積を決定した。さらに、質量欠損法を用いて残留12Cの励起エネルギーを決定し、 b) 12C + 12C -> 12C(0+_2) + 12C(0+_1) c) 12C + 12C -> 12C(0+_2) + 12C(0+_2) の断面積を決定した。a),b)のチャンネルでは、6α凝縮状態が理論的に予測されているEcm=19.4MeV付近にピークが観測された。内部構造を議論するためには微分断面積の角度分布を用いてスピンパリティを同定する必要があるが、スペクトルに含まれる連続バックグラウンドのためにスピンパリティの決定には至らなかった。c)のチャンネルでは、Ecm=22.5MeV付近に幅の広い状態が観測され、微分断面積の角度分布を用いてスピンパリティを4+であると決定した。この状態は6α凝縮状態の励起状態である可能性がある。以上の解析から、24Mgのα崩壊閾値付近に6α凝縮状態の基底状態および励起状態の候補を発見したと結論づけ、研究結果をPhysics Letter Bに投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、測定データの物理解析を行い24Mgの詳細な断面積と構造を調査した。解析の結果、Si検出器アレイで検出した3つのα粒子に対し不変質量法を用いて、 a) 12C + 12C -> 12C(0+_2) + X の包括断面積を決定した。さらに、質量欠損法を用いて残留12Cの励起エネルギーを決定し、 b) 12C + 12C -> 12C(0+_2) + 12C(0+_1) c) 12C + 12C -> 12C(0+_2) + 12C(0+_2) の断面積を決定した。a),b)のチャンネルでは、6α凝縮状態が理論的に予測されているEcm=19.4MeV付近にピークが観測されたが、スピンパリティを決定することができなかったために6α凝縮状態を同定することができなかった。c)のチャンネルでは、Ecm=22.5MeV付近に幅の広い状態が観測され、微分断面積の角度分布を用いてスピンパリティを4+であると決定した。この状態は6α凝縮状態の励起状態である可能性がある。以上の解析から、24Mgのα崩壊閾値付近に6α凝縮状態の基底状態および励起状態の候補を発見したと結論づけ、研究結果をPhysics Letter Bに投稿した。従って、本研究の目的である24Mgの6α凝縮状態の実験的探索に関しては概ね達成されたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
3.今後の計画 当該年度では、1. 24Mgの6α凝縮状態探索についての報告、2. 12Cのホイル状態からの稀γ崩壊確率測定を行う。 1.昨年度の研究では、24Mgの6α凝縮状態について実験的な知見が得られたに過ぎない。本年度は解析結果を国際的な研究集会において報告し、得られる共鳴状態の生成断面積、エネルギー、崩壊幅を理論計算と比較することで、24Mgの6α凝縮状態の存否について議論する。 2. 新たな研究課題として、12Cのホイル状態からの稀γ崩壊確率測定を行い、12Cのクラスター状態について調査する。申請者は既にα+12C非弾性散乱実験を実施し、残留12C核と放出ガンマ線の同時測定に成功している。そこで、本年度は取得したデータの物理解析を行い、γ崩壊確率を決定する。
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