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2023 年度 実施状況報告書

自閉症の社会性障害に関する単一細胞レベルの病態解析と創薬基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1519
研究機関大阪大学

研究代表者

竹本 智哉  大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
キーワード3q29 / 聴覚野 / 社会行動
研究実績の概要

自閉スペクトラム症(自閉症)の主症状である社会性障害の分子病態は不明である。ヒト染色体3q29領域欠失は、自閉症に対するオッズ比(疾患の罹りやすさ)が約20と高く、社会性障害の発症との関連が強く示唆されるゲノム変異の一つである。これまでに当研究室では、ヒト3q29領域と相同な領域に欠失を導入した疾患モデルマウス(3q29マウス)の神経活動を全脳レベルで解析し、社会行動刺激により、3q29マウス聴覚野において、少数の神経細胞が過剰に活性化していることを明らかにし、この少数の神経細胞集団と社会性障害が関連する可能性を見出してきた。そこで本年度は、3q29マウス聴覚野において社会行動時に過剰に活性化する少数の神経細胞集団が社会性制御に重要であることを明らかにすることを目的に研究を行い、主に以下の結果を得た。
①hM4Di-DREADD法を用いて、社会行動刺激により活性化する聴覚野神経細胞の神経活動を抑制したところ、野生型マウスでは社会行動量に変化が見られなかった一方で、3q29マウスでは有意に社会行動量が増加し、その行動量は野生型マウスと同程度であった。
②hM3Dq-DREADD法を用いて、野生型マウスの聴覚野興奮性神経細胞を活性化したところ、野生型マウスの社会行動量は有意に低下した。
以上の結果から、3q29マウスの聴覚野において社会行動刺激により活性化する神経細胞集団は、社会性制御に関与する集団である可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3q29マウスの聴覚野において、社会行動刺激により活性化する少数の神経細胞集団が、同マウスにおける社会行動障害に関与する可能性を示す実験データを得ることができたため。

今後の研究の推進方策

今後は遺伝子発現パターン解析や、神経投射パターン解析などの手法を用いて、本年度の実験で見出した社会行動障害に関与する神経細胞集団の特性を明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Clozapine Induces Neuronal Activation in the Medial Prefrontal Cortex in a Projection Target-Biased Manner2024

    • 著者名/発表者名
      Yumi Hirato, Kaoru Seiriki, Leo Kojima, Shohei Yamada, Hiroki Rokujo, Tomoya Takemoto, Takanobu Nakazawa, Atsushi Kasai, Hitoshi Hashimoto
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 47 ページ: 478-485

    • DOI

      10.1248/bpb.b23-00898

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Oxytocin restores abnormal social behavior in a mouse model of 3q29 microdeletion2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Takemoto, Kohei Kitagawa, Kazuki Nagayasu, Kaoru Seiriki, Atsuko Hayata-Takano, Atsushi Kasai, Yukio Ago, Kazuhiro Takuma, Daisuke Mori, Norio Ozaki, Ryota Hashimoto, Hitoshi Hashimoto, Takanobu Nakazawa
    • 学会等名
      Neuroscience 2023
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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