研究課題/領域番号 |
23KJ1689
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長 佑磨 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | タイトジャンクション / 三細胞間密着結合 / 近位依存性ビオチン化標識法 / トリセルリン / 上皮バリア / 細胞接着 / 上皮細胞 |
研究実績の概要 |
密着結合は、上皮細胞間に形成される接着構造であり、外界と体内を隔てるバリア機能を担う。上皮シート内には、2つの細胞が隣り合う2細胞間だけではなく、3つの細胞が隣接する3細胞間領域が存在する。細胞シート全体としてバリアを発揮するためには、この3細胞間領域においても形質膜同士を密接させる必要がある。一方で、血管内皮細胞シートを白血球が通り抜ける際は、3細胞間領域から通り抜けることが明らかになっている。これは、3細胞間密着結合が可逆的に開閉することを示唆する。しかし、3細胞間密着結合において機能する分子は、膜タンパク質であるトリセルリンとLSRの2つしか明らかになっておらず、3細胞間密着結合の制御に関して多くの不明な点が残されている。そこで、この他にも3細胞間密着結合において機能する未知のタンパク質が存在するのではないかと考え、トリセルリンに近位依存性ビオチン化酵素TurboIDを付加した融合タンパク質を培養上皮細胞EpH4に発現させ、3細胞間密着結合に局在するタンパク質の網羅的解析を試みた。まず、3細胞間密着結合に局在するタンパク質だけを取得するために、細胞株の選別やビオチンの処理濃度・処理時間の検討を行うことで、ビオチン化条件の最適化に成功した。この条件のもとビオチン化されたタンパク質のプロテオーム解析を行ったところ、LSRやそのファミリータンパク質であるILDRなどがポジティブコントロールとして再現性よく検出され、3細胞間密着結合に集積するタンパク質群が取得できていることが示された。この解析データ中の膜タンパク質を中心に局在解析を進めているが、一方で、脱ユビキチン化酵素、転写因子、リン酸化酵素など、当初は予想していなかった分子群が、密着結合に集積することを見出しており、これらに関して機能解析を進めている。3細胞間密着結合に集積する分子に関しても、引き続き探索を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的通り、近接ビオチン化標識法を用いて、3細胞間密着結合で機能する新規因子の探索を行ったところ興味深い因子が多数同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の解析によって、3細胞間密着結合に局在する新規因子の候補の絞り込みに成功した。今後は密着結合、特に三細胞間の密着結合において、これらの因子がどのような役割を担っているのか、という点に関して引き続き研究を進めていく。
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