研究課題/領域番号 |
23KJ1723
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松尾 信之介 九州大学, システム情報科学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | 機械学習 / 深層学習 / 組合せ最適化問題 / 弱教師あり学習 |
研究実績の概要 |
当該年度,組合せ最適化問題について,それら問題を画像的に扱い,機械学習による近似解法を提案した.また,それ以外にも,弱教師と呼ばれるデータに対するラベルを用いた最適化問題にも取り組んだ.研究実績としては,国際会議論文3編(筆頭1編,共著2編)に加え,国内発表6件であった. 1) 組合せ最適化問題の画像表現による解法の提案 本研究では,巡回セールスマン問題を対象とした.巡回セールスマン問題は,複数の都市をそれぞれ1回通過する最短閉路を求める問題である.過言すれば,全都市を頂点とする完全グラフのうち,最短閉路に対応する部分グラフを求める問題と考えることができる.この完全グラフに対応する距離行列から,部分グラフを表現する隣接行列への変換を,一種の画像変換問題として捉え,それを機械学習の枠組みで実現した. 2) 弱教師あり学習 Learning from label proportions (LLP)に関する新たな最適化手法の提案 LLPは,インスタンス(=データ)の集合であるバッグのラベル比率から各インスタンスのクラスラベルを推論する弱教師付き学習問題である.LLPに対するデータ拡張手法に加え,あるクラスのラベル比率が不明なpartial label proportionsからの学習手法,大規模データの際問題となるGPUのメモリ不足の問題に対処する手法など実問題に則した手法開発も行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組合せ最適化問題の中でも,NP困難な巡回セールスマン問題に対して,機械学習を用いた画像解析的解法が有効であることを示すことができたためである.具体的には,本問題を距離行列から隣接行列への画像変換問題として捉え,セグメンテーションタスク(画像の領域分割タスク)によく用いられるU-Netを用い,実験から従来のGraph Neural Network (GCN)ベースの手法より高精度な解を推論できることを示した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,提案した画像解析的アプローチが,最新の機械学習を用いた近似解法に導入できないか検討する.それら手法では,自然言語処理分野でよく用いられるTransformerに基づいており,通常,巡回する地点の座標が入力されるが,そこに距離行列を用いることができないかと考えている.また,本研究のアプローチは巡回セールスマン問題に限ったものではないため,本問題以外のグラフ問題への応用を試みる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由: 旅費の高騰により,残金が少額であることから,PC等の高額な物品の購入ができなかった. 使用計画: 現在,査読付き国際学会に3件投稿済みであり,旅費及び学会参加費に充てる予定である.
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