研究課題/領域番号 |
23KJ1968
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
手塚 一成 東京理科大学, 創域理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
キーワード | 制御理論 / 非線形制御理論 / ヒューマンアシスト制御 / 制御バリア関数 / 電動車いす |
研究実績の概要 |
本年度は、固定障害物との衝突回避問題といった時不変の状態制約問題を主に扱い研究を進めた。理論的な研究成果として、1入力システムに対しては、連続性を保証したうえで、入力制約と状態制約を同時に満たすことができるヒューマンアシスト制御入力を設計できることを明らかにした。また、次年度の予備研究として、入力制約が無い場合において、時変の状態制約を満たすことのできるヒューマンアシスト制御法を提案した。 実験的な研究成果として、人間が操作するシステムのような非自律システムの安全性を保証できる厳密零化制御バリア関数を用いたヒューマンアシスト制御法の有効性を、電動車いすを用いた実機実験を通して明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は時不変の状態制約問題を扱う計画であったため、この問題に対し、理論面及び実験面双方においておおむね順調に進展していると考えている。ただし、本来、多入力システムを対象とした安全アシスト制御法の理論構築を本年度中までに達成する予定であったため、若干の遅れが生じている。一方で、来年度に向けた時変の状態制約問題に対する安全アシスト制御法の予備研究が進んでいるため、おおむね順調であるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度、制御対象を1入力システムに限定したのは、多入力システムを扱う場合、最小限の介入により安全性を保証する入力を導出するための最適化問題を解くと、その最適解の連続性が一般に保証されないためである。この問題に対し、予備研究により、入力制約内部から近似最適解を探索する部分内点法を用いることで連続なアシスト入力が設計できることが明らかになってきた。よって、次年度は、この手法に関する理論構築を完遂し、多入力システムの状態制約問題にも耐えうるヒューマンアシスト制御法を確立する。また、時変の状態制約問題に対し、入力制約と状態制約を同時に満たすことができるヒューマンアシスト制御法を確立する。提案法の有効性は、コンピュータシミュレーションのみならず、自動車を用いた実機実験を通して明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に、多入力システムのためのヒューマンアシスト制御法に関する学術論文を投稿する予定でオープンアクセス費を計上していたが、投稿が次年度に持ち越されたため、次年度使用額が生じた。次年度初旬に投稿を予定しているため、2年間の合計使用額が変更になることはないと考えている。
|