研究課題
イネ粒重抑制酵素であるTGW6は、機能喪失によって葉鞘のデンプン蓄積量を増加させるほか、玄米サイズを向上させる。本研究では、TGW6の特異的阻害剤を探索し、TGW6の化学的制御がイネの農業形質に与える影響を調査する。本年度は、阻害剤候補がイネのソース能およびシンクサイズに与える効果の測定と、新規候補化合物の探索を実施した。化合物を処理したイネでは、対照区と比較して葉鞘におけるデンプン蓄積量が顕著に増加したほか、粒長ならびに粒重が有意に向上したことが確認された。また、計算化学ソフトウェアを使用し、既存の低分子化合物ライブラリーから、TGW6に対する結合活性が良好であることが予測された10種の新規化合物が選抜された。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通り、新規候補化合物の選抜を実施したほか、イネ個体を用いた既得候補化合物の評価を行うことができた。一方で、新規候補化合物を委託合成した際、予定よりも合成期間が長期化したため、それらの評価解析までは至らなかった。
本年度に取得した新規候補化合物の生化学的な評価解析を行い、TGW6分子に対する薬剤活性を調査する。さらに、イネ個体への処理実験を行い、葉鞘のデンプン蓄積量や玄米サイズへの影響を評価していく。
本年度に計画していた新規候補化合物の委託合成費用の一部を別の研究予算で賄った。また、消耗品の購入については各企業のキャンペーンなどを利用したため、残金が発生した。次年度分の研究予算は、遺伝子発現の解析に必要なRNA抽出キット (50千円/50サンプル) やデンプン含量の測定に使用するデンプン定量キット(35千円/30サンプル)、イネの栽培に必要な消耗品などの購入代金として使用する。また、研究の進捗状況に応じて、国内外の学会に参加するための旅費として使用する。
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