研究実績の概要 |
これまでEarth Mover's Distance(EMD)を用いた深層学習の学習過程の解析および新たな学習収束条件の考案に関する研究を行ってきた.特にクラス不均衡化における学習解析を行い,解析結果からクラス不均衡に対して有効な新たな損失関数を2つ提案した. (1)クラス不均衡な画像分類に対するLarge Marginに基づいた新たな損失関数の提案 従来提案されているLDAM loss,クラス不均衡な画像分類に広く利用されている.しかし,Softmax Cross Entropy loss本来に含まれているラージマージンとの関連性は明らかにされていない.そこで本研究ではSoftplus関数に基づくラージマージンの概念を用いてLDAM lossの式を再考する.さらに解析結果から,LDAM lossのマージンをさらに拡張したLabel Distribution Aware Enlarged-Margin(LDAM-EM)lossを提案する.クラス不均衡データセットを用いた実験結果から,提案手法を用いることで LDAM lossや従来の損失関数と比較して分類精度が大きく改善することを確認した. (2)Adaptive t-vMF Dice lossを用いたMulit-class Medical Image Segmentationの精度改善 正解領域の面積がクラスごとに異なる多クラスセグメンテーションでは学習が不均衡になりやすく,全てのクラスに対して同じ類似度を用いる従来のDice lossでは,学習が不十分となる.そこで本研究ではDice lossの式を再考し, Dice loss がコ サイン類似度を用いた損失関数に変換できることを発見した.これを応用し,t-vMF類似度を用いたt-vMF Dice lossとAdaptive t-vMF Dice lossを提案する.提案する損失関数はDice lossよりもコンパクトな類似度を持ち,さらにクラスごとに異なる類似度を用いた適応的な学習が可能である.
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