研究課題/領域番号 |
23KJ2066
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
加藤 大志 名城大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | 白色腐朽菌 / lignin / methoxyhydroquinone / dimethoxyhydroquinone / 大気圧プラズマ |
研究実績の概要 |
リグニンは植物細胞壁中の難分解性芳香族化合物ポリマーで、環境中に存在する未利用バイオマスの一つであるため、バイオリファイナリーの原料として注目を集めている。申請者は大気圧プラズマ発生装置を用いて、リグニン及びリグニンを含む植物バイオマス(稲わら、木粉)にプラズマ照射を行い、リグニンの低分子化および分解を検証した。プラズマ照射後のサンプルはLC-MS、GC-MS、FT-IRで解析した。リグニン構成ユニット間のエーテル結合の開裂反応により様々なリグニンの分解断片が生成されたことから、プラズマ照射がリグニンの低分子化に有効であることが明らかとなった。 また、白色腐朽菌の細胞内外プロテオミクス解析の結果から、リグニンの分解断片を脱メチル化する酵素のほか、リグニンの分解断片を環開裂すると考えられる酵素も検出された。このリコンビナントタンパク質をリグニンフラグメントと反応させ解析した結果、新規のメトキシヒドロキノン及びジメトキシヒドロキノン開裂酵素(MHQD)であることが明らかとなった(Kato H et al., 2024 Appl. Environ. Microbiol.)。令和6年度は、プラズマ照射と発見したMHQDを組み合わせて、リグニンを原料としたバイオエタノール生産を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画としては脱メチル化酵素遺伝子を同定し、既知の環開裂酵素遺伝子を組合せてバイオエタノール生産に用いる予定だった。今年度、白色腐朽菌のリグニン分解断片代謝経路において、脱メチル化反応を経由せず環開裂を引き起こすメトキシヒドロキノン及びジメトキシヒドロキノン開裂酵素(MHQD)を発見し国際誌で公表した。これにより、遺伝子工学的なシステムの構築が大幅にシンプル化され、バイオエタノール生産の効率向上に寄与する可能性が高まった。
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今後の研究の推進方策 |
大気圧プラズマ処理によるリグニン構成ユニット間のエーテル結合の開裂で生成された産物を同定・定量する。また、バイオエタノール生産の効率向上を目指し、遺伝子工学的なシステムの構築に向けてMHQD遺伝子を導入する。
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次年度使用額が生じた理由 |
リグニンやリグニン分解産物の試薬およびリコンビナント調製に必要な試薬が予定よりも安価かつ充分に確保できたため、物品費を削減できた。また、学会参加のための旅費は、受け入れ研究機関の支援制度から計上した。
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