研究課題/領域番号 |
23KJ2090
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
亀岡 健太郎 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | 共鳴 |
研究実績の概要 |
今年度はまず離散シュレーディンガー作用素の半古典解析や固有関数の指数減衰についての論文が出版された.昨年度受理され早期公開されていたが正式な出版は今年度4月だった.内容は昨年度記載した. 今年度の具体的研究成果として多体シュタルクハミルトニアンの共鳴に対する複素吸収ポテンシャル法の数学的証明を与えてプレプリントを公表した.量子力学において共鳴には準安定状態が対応し共鳴は散乱現象にも影響を与える.共鳴は非自己共役作用素のスペクトル解析と関わるなど数学的にも興味深い対象である.シュタルクハミルトニアンは減衰ポテンシャルをもつシュレーディンガー作用素に外部電場を表す線形ポテンシャルを付加した作用素であり下に有界でないため通常と異なる扱いが必要になる.複素吸収ポテンシャル法はハミルトニアンに複素ポテンシャルを付加した作用素の離散固有値により共鳴を近似するものである.一体シュタルクハミルトニアンに対しては過去に自分が証明しておりその拡張である. 今年度の別の進展として中村周氏との共同研究において離散シュレーディンガー作用素の共鳴の連続極限についての結果を証明し論文を執筆中である.詳細は来年度記載したい. 立命館大学数理科学科談話会で共鳴の数学的研究について講演した.京都大学の作用素論セミナーおよび愛媛大学の松山解析セミナーで一体および多体のシュタルクハミルトニアンに対する複素吸収ポテンシャル法について講演し議論した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書において令和5年度は離散作用素の共鳴の分布および多体問題での複素吸収ポテンシャル法についての研究を本格的に行うとしていた.多体問題での複素吸収ポテンシャル法はプレプリントを公表できたため順調に進展したといえる.離散作用素の共鳴の研究は当初考えていた問題とは異なる問題ではあるが論文を書く段階まで進んだため順調に進展したと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
おおむね予定通り研究を進めていく.具体的には連立微分作用素の固有値や共鳴の半古典解析および量子カオス的設定での固有関数や共鳴の半古典解析の研究を進める予定である.また共鳴の連続極限についての論文を完成させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
主に国外出張をしなかったため次年度使用額が生じた.消耗品の購入もしなかった. 次年度以降の国外出張費にあてる計画である.
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