• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

ミグダル効果及びミグダル効果を用いた新物理探索

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ2173
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

中野 湧天  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
キーワード暗黒物質探索
研究実績の概要

暗黒物質は銀河の内部構造や宇宙マイクロ波背景放射から存在が示唆されている未だ未発見の未知の物 質である。この暗黒物質を探索する実験は数多く提案されている。近年、いわゆる軽い暗黒物質と呼ばれる質量の軽い暗黒物質が注目を集めており、盛んに研究が行われている。今回、axion-like particleと呼ばれる高エネルギー理論から予言される新粒子の新しい探索実験の提案を行った。この探索実験では、最近著しく研究が進んでおり注目を集めているqubitを用いた量子演算技術を用いている。この研究では、暗黒物質からの信号を量子演算を行うことにより増幅をすることが可能であり、暗黒物質の測定に使用するエンタングルされるqubitの数の二乗だけ信号を増幅できることが明らかになった。物理系として、イオン化させた原子を電磁場によって捕獲するイオントラップ型のqubitシステムを仮定している。軽いaxion-like particleはトラップされたイオンの振動周波数と共鳴する場合に、イオンの振動状態を共鳴励起する。この共鳴励起の信号を量子演算によって足し上げることが可能であり、それによって信号を増幅することができる。また、axion-like particleだけではなくdark photon模型についても探索が可能である。このような量子技術を用いた方法は将来、いわゆる量子コンピュータ技術の発展によって大幅に改善されることが期待されている。また、量子演算による暗黒物質の信号の増幅が可能であることを初めて示すことに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ミグダル効果のより精密化された計算に関しては、先行研究で使用されたダイポール近似を使用せず、更に電子相関を取り入れた計算が「P. Cox, M. Dolan, C. McCabe, H. Quiney, “Precise predictions and new insights for atomic ionization from the Migdal effect,” PRD 107 (2023) 3, 035032」で行われている。現在、新たな方法またはこの論文に基づいた改良について再考している。
また、成果として論文に掲載されたイオントラップを用いた暗黒物質の信号を増幅する研究に関連して、Migdal効果を同様にしてイオントラップ型のシステムで探索できないか試行したが、既存の方法の方が優れているという結論に至った。

今後の研究の推進方策

既存の暗黒物質の候補とされる新物理からの信号について研究を進める。また、Migdal効果の理論計算に関して、既存の実験結果と比較が可能となるような方法について模索していく。

次年度使用額が生じた理由

海外の研究会に参加する予定であったが、当初の想定より渡航費が上回ったため見送った。次年度分と合わせた助成金により海外の研究会に参加する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Quantum entanglement of ions for light dark matter detection2024

    • 著者名/発表者名
      Ito Asuka、Kitano Ryuichiro、Nakano Wakutaka、Takai Ryoto
    • 雑誌名

      Journal of High Energy Physics

      巻: 2024 ページ: -

    • DOI

      10.1007/JHEP02(2024)124

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi