研究課題/領域番号 |
23KJ2178
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤 博貴 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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キーワード | A群レンサ球菌 / 宿主翻訳 / リボソームプロファイリング / 細菌毒素 |
研究実績の概要 |
本研究では、上皮細胞に感染した溶連菌が分泌した毒素による宿主翻訳抑制のメカニズムと生理的意義の解明を目的とする。本年度では、溶連菌のタンパク質毒素による翻訳抑制機構メカニズムを解明するために、まず毒素による翻訳抑制の変化の大きい、つまり標的遺伝子の同定を試みた。そこで溶連菌を感染させた際の宿主翻訳動態を最先端のトランスレイトミクスツールであるリボソームプロファイリングにより調べた。HeLa細胞へ溶連菌を感染させた後、感染経時的に細胞を破砕し、これらのサンプルを用いてリボソームプロファイリングを実施した結果、早期の感染時間における翻訳動態を捉えることに成功した。その結果、感染初期に翻訳が減少する転写産物が存在することを特定した。その遺伝子の機能分類群をカテゴライズするGene ontology解析から、宿主翻訳の生合成に関与するGOの翻訳が減少していることがわかり、翻訳動態への抑制効果と関連する結果が得られた。今後感染時における特定の遺伝子の翻訳産物の低下が、これまでに観察されている溶連菌感染で起きるゴルジ体の断片化やオートファジー阻害といった溶連菌が起こす病態と関連するかどうかを、来年度以降より検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染細胞でのリボソームプロファイリングでの実験サンプルをシーケンスした際に、感染後期のサンプルのリードがほとんど得られない問題に直面したために、その問題点を解消するための条件検討を重ねた。その結果、感染サンプルのリボソームプロファイリングが可能な条件を設定することに成功したが、その条件検討に充てた期間の分だけ研究の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
感染細胞でのリボソームプロファイリングの条件設定が終えたため、今後感染経時的な翻訳動態を追いつつ、RNAseqによりRNAレベルの変化も同時に計測することで、感染時における転写を超えた翻訳動態を解明する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度の助成金に追加して購入したい試薬があったため。
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