研究課題/領域番号 |
23KK0029
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮田 幸子 立命館大学, 経営学部, 教授 (10646764)
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研究分担者 |
関 麻衣 立命館大学, 経済学部, 准教授 (70771468)
SUR PRAMOD・KUMAR 立命館大学, 食マネジメント学部, 准教授 (30845037)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2028-03-31
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キーワード | 貯水池、湖の持続可能性 / 淡水湖における養殖事業の継続性 / Social experiment / 情報ナッジ nudge / 同調圧力 Peer Pressure / 行動経済学 |
研究実績の概要 |
本海外連携プロジェクトは、9月下旬から開始となり実質半年間の研究活動となる。当初の今年度の配分から、スタート地点に立つための年と位置付けており、インドネシアの水資源管理と養殖漁業の持続性について実態把握に努めた。対象としている西ジャワ最大のチタルム川沿いに建設された3つのダムにより作られた貯水池(人工湖):サグリン湖、チラタ湖、ジャティルフール湖、の水質汚染や法律に関係する情報を収集した。養殖業などの貯水湖における産業・事業の情報を収集し、最新の実態把握に努めた。また、貯水池に流れる川の汚染や貯水池の沈殿物(Sediments)に関する科学的な根拠情報を現地語と英語で入手した。 貯水湖の水質汚染や湖底の沈殿物の蓄積のメカニズムについては、理工系の水環境等を専門とする研究者と連携し、Marine Fishery分野の研究を含む論文や文献の検索を行った。インドネシアの対象貯水池におけるsediments蓄積に関する論文や報告書を、インドネシアの大学の研究者の協力を得て英語とインドネシア語によるインドネシアの大学のworking paper, 博士論文などを取得した。以上から、科学的根拠に基づいたモデルに基づく先行研究及び実測データによるとチラタ湖やサグリン湖において湖底の沈殿物はここ30年で蓄積していることが分かった。また、養殖事業の参入の実態について2湖の違いを理解した。その基本的な内容を西ジャワ管轄の地方政府にてexploratory analysisとpublic lectureという形でまとめ、報告発表した。地方政府職員らと活発に意見交換を行う機会を設けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外協力機関であるインドネシアのUniversity of Padjadjaran (UNPAD), Sustainable Development Goals (SDG) Centerをはじめ、UNPADの水産海洋科学学科(Fishery and Marine Sciences)や経済学研究科所属の教員とも連携し、基本的な現地の状況の把握に努めた。 また、研究プロジェクトの構成メンバーは社会科学者を中心としており、貯水湖の水質汚染や湖底の沈殿物(Sediments)の蓄積のメカニズムなどについて、科学的な基本構造を理解するため、水環境、水質に関する理工系の研究について文献の検索を行った。インドネシアにおけるsediments蓄積に関する論文について、インドネシアの大学の研究者の協力を得て、インドネシアの大学院のworking paper, 博士論文なども広く検索し、英語とインドネシア語の両方についていくつか取得できた。 以上から、科学的根拠に基づいたモデルに基づく先行研究やデータにより対象ダム湖底の沈殿物の状況が把握でき今後の方向性を検討する基本的資料を取得できた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において理解した現地の貯水池の水環境及び土砂、土壌、川の水流など貯水池を取り巻く様々な環境についても理解を深めていく。同時に、現地における人々の生活の基盤となっている養殖事業の状況について、その経営形態、経営の収益性、季節変動時の魚の大量死の仕組みなどについての事実関係について、海外連携の協力機関・大学のSDGセンターの研究者率いるチームによる現地調査を実施し、理解を深める。また、水環境の持続性について養殖事業者の理解がどの程度得られているのか、水環境の改善に寄与する余地があるのかについても現地調査により把握する。それらの調査を通じて、Peer pressure, 情報ナッジ等による環境改善の社会実験が機能し得るかを慎重に精査するとともに、事業者の行動に関する研究を進める。 昨年度に引き続き、基礎的な水環境、Common resource management、環境経済学の分野を中心に公表されてきた英語によるScoupus、経済学、行動経済学、Marine policyなどの分野の学術雑誌論文を検索し、先行研究の収集を行う。それら先行研究から最近のCommon Resource managementに関する実証研究の研究動向をまとめる。 以上をもとにした研究の成果を取りまとめ、現地事情に詳しいインドネシアの大学、政府機関、アジアの関連する大学などにおいて発表する。コメントを受け、論文にまとめ、現地の大学のセミナーや国際学会などに公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は半年間に、まず基本的な最新の情報収集、連携研究者や協力研究者とのの研究方向性の検討、また文献の検索などを中心に行った。関連する研究の確認や把握に努め、基本的な情報を把握した上で本格的な現地調査は次年に実施することとしたため。
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