研究課題/領域番号 |
23KK0078
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
奥山 信一 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90242297)
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研究分担者 |
香月 歩 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (50805124)
塩崎 太伸 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (80555110)
藤田 康仁 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (00436718)
平賀 あまな 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (90436270)
坂村 圭 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30793749)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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キーワード | 歴史都市の継承 / 江南水郷古鎮 / 中華人民共和国 / 文化的景観の保存・活用 / 文化財の保存・活用 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、歴史都市の持続的発展に寄与する、都市空間の改変・更新のデザイン方法論「都市継承デザイン学」の実践を目的とし、中国「新場古鎮」を対象地として、中国の現地研究チームとの共同で現地調査を実施し、そこから得られる当該地域の特性を踏まえた当該地域の持続的継承のための都市空間再編の設計案を提示するものである。 本年度は、まず対象地の視察を実施し、当該地域における歴史的景観の保全と観光開発の現在の状況を把握した。また江南地方の2つの水郷古鎮(朱家角、同里)における視察も行った。朱家角や同里では入場料の徴収や観光用の大型駐車場の整備など、大勢の観光客の来訪に対応するための整備が進行し、特に朱家格では景観区域内では観光客向けの店舗が多く入居し商業化が進行する一方で、新場では表通りに現地住民の生活がまだ表れている素朴な状況が残されていることが確認できた。しかしコロナ禍の前後で新場での開発も進行しており、歴史的住居の店舗への転用や、民泊施設の開設などが認められた。このように江南水郷古鎮の中でも、各地域における歴史的景観の保全状況や観光開発の状況に相違が存在していることが明らかとなった。今後はこうした状況から新場および江南水郷古鎮の特性を捉えた上で、当該地域における文化財保全と観光開発のバランスについて調査・考察を進めていきたい。 また現地の研究協力者および新場古鎮の開発関係者と面会し、今後の研究調査の計画を協議した。新場を含めた水郷古鎮は、江南水郷古鎮として一帯的に歴史的観光地としての開発・集客が今後構想されているということであった。このような現地政府・開発業者による構想は本研究における今後の調査・設計でも考慮すべき前提課題として認識された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は新場古鎮の現状を把握し、次年度における実測調査の対象範囲や対象建造物を確認できた。また現地の開発業者や住民へのヒアリングを通して、次年度における調査項目の検討を進めることができた。 本年度で得られた情報にもとづき、次年度の対象地における調査を計画・実行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では新場古鎮の現地調査を実施する。現地調査では、意匠班が水路や歩道等の外部空間および歴史的建造物の実測調査を実施し、新場古鎮の景観の意匠的特徴を把握する予定である。歴史班および計画班は、文献調査およびヒアリング調査を通して、建造物の保存状況や住民の生活等、歴史的景観の活用の前提となる実態の把握を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時には本年度に研究メンバー全員による現地調査を実施する予定であったが、中国の入国ビザに関する措置やメンバーのスケジュール調整等で難航したため、本年度は一部のメンバーによる視察とした。そのため本年度使用予定であった旅費、物品費、人件費等は次年度使用額として持ち越した。 次年度使用額については、次年度に実施する研究メンバー全員による現地調査の旅費、同行する現地共同研究者および学生に対する人件費、調査用備品の物品費として使用する計画である。
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