研究課題/領域番号 |
23KK0080
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
倉田 真宏 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70624592)
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研究分担者 |
西野 智研 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00609894)
落合 知帆 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80582022)
河又 洋介 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主任研究員 (90740994)
中野 元太 京都大学, 防災研究所, 助教 (90849192)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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キーワード | 地域災害評価 / 複合災害評価 / 学際連携 |
研究実績の概要 |
本課題では,日米連携および学際連携(地震,火山,地盤,社会工学,情報学)により,1)地域レベルでの複合災害評価における不確実性を評価する手法,2)意思決定・行動支援を目的とした災害後の地域復興モデルの開発,3)包括的な解析環境の整備,に課する共同開発基盤を構築し,完全な復旧が不可能な「クリフエッジ」の閾値を予測する方法論を提案する。 2023年9月および10月に日本側研究者が会して,連携研究の進め方を議論した。具体的には,地震に対する性能設計の枠組みを複合災害の評価に拡張するために必要な技術開発,事業継続性評価の一環として機能回復に焦点を当てた設計・評価手法の開発,について議論した。同年11月に米国の共同研究者とオンラインミーティングを実施し,シミュレーションやデータ収集を実施するモデル地域,ベンチマーク構造物定,構築が必要なデータベースについて議論した。 先行して取り組む課題として,災害後の地域復興モデルに関連する不確実性を含む復興モデルの検討を開始した。災害時の人々の行動を規定する要因を,教育的要因や文化的要因など多方面から検討し,より人々の災害時の適切な行動を生起させやすいアプローチを提案する。2024年3月に研究チームの2名がスタンフォード大学を訪れて,米国において複合災害や地域災害研究をリードする研究者や実務者を25名集めた円卓会議を開催した。また,復興モデルのデータを収集することを目的として,山火事からの復興に取り組む加州サンタローザ市を訪れて,災害時の住民行動や復興計画における住民とのコミュニケーションの課題について議論し,復旧した消火設備を見学した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を開始した2023年9月からの半年間は,国内での研究の進め方と日米連携の詳細について議論を進めた。全体での討議に加えて,国内で打ち合わせする機会を複数回設けて,サブ課題ごとに研究アプローチを議論した。また復興モデルに関するサブ課題において,米国スタンフォード大学での円卓会議(日本側2名,米国側23名)およびフィールド調査を実施し,共同研究基盤の構築を議論した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年6月末から開催される第18回世界地震工学会議(ミラノ)において,地域災害・複合災害の評価とシミュレーションに関する企画セッション(研究代表者と米国側研究協力者が議長)を計画している。各研究分担者は複合災害,地域災害シミュレーションにおける取組を2023年度に会議論文として提出しており,企画セッションでは発表者として参加するだけでなく,他の研究者や聴衆と同テーマにおける国際連携基盤の構築について討議する予定である。また,モデル地域として京都市を選定し,1)地域レベルでの複合災害評価における不確実性を評価する手法,について,解析モデルやデータの不確定性が与える影響を評価するケーススタディを実施する。また2)意思決定・行動支援を目的とした災害後の地域復興モデルの開発,に向けて,医療・観光・教育などにおける災害の影響について人間行動に関するデータを収集する。また,3)包括的な解析環境の整備,に向けて,既存の大規模実験やフィールド調査を活用したデータセットの構築に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に米国スタンフォードで企画していたthe U.S.-Japan Round table discussions on Regional Assessment, Management, and Business Continuity against Disastersについて,日本側出席者の都合がつかず,当初の予定より必要な旅費が減少したため。 次年度に改めて米国側研究者と対面で打ち合わせする機会を設ける。
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