研究課題/領域番号 |
23KK0083
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
坪井 伸幸 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (40342620)
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研究分担者 |
石井 一洋 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (20251754)
小澤 晃平 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90801879)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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キーワード | 衝撃波 / 航空宇宙 / 数値流体解析 / 平面レーザー誘起蛍光法 |
研究実績の概要 |
1.ミシガン大学における実験系の構築や後解析の準備 1)衝撃波-噴流相互干渉の実験条件は、大気圧下・常温の水素-空気、メタン-空気、エチレン-空気、プロパン-空気の1次元爆轟の諸元と相似になるよう設定した。 2)シュリーレン光学系に関しては、受入研究者が保有する光学コンポーネントを組み合わせ、Folded-Z方式のシュリーレン光学系を構築し、自作の連続光源ライターの火炎で動作を確認した。現在は、高速度カメラのシャッター速度よりもよりブレの少ない現象可視化画像の取得を意図し、パルス幅数十ns程度の出力が可能なLEDパルス光源の自作を試みている。また、上述の可視化速度や実験条件の範囲に相当する条件での噴流の噴射システムの構築および校正を行った。 3)受入研究者が過去に実施した他系の2色PLIF実験データを練習データとして、PLIF温度計測の後解析プログラムを構築した。衝撃波到達による振動に起因する画像のブレや歪みを含む計測画像10セット程度に適用したが、プログラム内のパラメータを変更することなく、衝撃波と噴流を含む流れの温度場構造を不自然な領域なく出力できることを確認した。 2.横国大における実験装置の設計および光学系の検討:実験では、衝撃波管の低圧部下流に試験部を接続し、試験部内に単孔噴射器を設置することで、入射衝撃波とその伝播方向に垂直に噴射される異成分噴流との相互干渉過程が可視化計測な構造とした。さらに赤外ダイクロイックビームスプリッタを利用して、可視シュリーレン撮影と同時に、炭化水素燃料が赤外光を吸収することを利用した赤外透過画像撮影が可能な光学系について検討を行った。 3.九工大での数値解析の解析コードの一部改良および試計算:乱流モデルを使用する解析コードを数値安定性の向上のために一部改修および試行計算を行い、解析コードの稼働状況を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ミシガン大における状況:衝撃波管の一部が損傷し、修理に時間を要している。シュリーレンの基礎的な動作は確認できたが、光源の振動が酷く、改修を要する。さらに、PLIF光学系については受入研究者側による環境整備が遅延している。 横国大における状況:衝撃波管の試験部の主要部分の設計を行ったが、実験スペースが限られていることもあり、試験部を溶接構造とするか、汎用スケジュール管を利用した構造とするかの検討に時間を要した。現在、噴射器の構造を検討している段階であるが、当初予定においても令和5年度は実験装置の設計製作に多くの時間を費やすことが見込まれていた。入射衝撃波と異成分噴流との本格的な干渉実験は令和6年度に実施予定である。 九工大における状況:計算格子作成ソフトのライセンスサーバーが故障し、代替機種へのライセンス移管および立ち上げに時間を要し、格子作成を始めることができなかった。そのため、計算格子の作成は令和6年度に実施開始予定であり、計算条件の設定も実験条件に合わせて行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ミシガン大:衝撃波管の修理は6-7月に完了予定との連絡を受けている。その間は、シュリーレンの光源の改良やパルス光源の自作、PLIF後解析プログラムの作成など、他の実行可能タスクに時間を割いている。PLIF光学系については、受入研究者側による環境整備を早期に完了するよう働きかける。 横国大:本実験では、入射衝撃波と同期させて試験部に噴流を噴出させるが、その再現性が実験遂行の上で一つの課題となると考えられる。噴射タイミングは電磁弁で制御することになるが、時間遅れがあるために入射衝撃波を検出してからでは噴射が間に合わないことが予想される。そこで、衝撃波管を二重隔膜方式として破膜タイミングと噴流の噴出タイミングを調整することで、実験の歩留まりならびに再現性の確保を図る。 九工大:実験条件に合わせた計算格子の作成と計算条件の設定が重要なポイントになるため、メンバー相互間の意思疎通を密に図って計算格子の作成・計算条件の設定を行い、試計算を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」で述べたように、令和5年度は実験装置の設計に時間を要し、令和6年度は実験装置および光学系を完成させ、入射衝撃波と噴流との干渉実験を実施予定としている。そのため、試験部の製作費用ならびに光学部品の費用として次年度使用額が発生した。
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