研究課題/領域番号 |
23KK0085
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
眞田 靖士 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (80334358)
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研究分担者 |
高橋 之 大同大学, 工学部, 准教授 (20620842)
尹 ロク現 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50844205)
鈴木 有美 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (20974083)
PRADHAN SUJAN 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80967141)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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キーワード | 地震防災 / 発展途上国 / 組積構造 / 建築物 / 耐震技術 |
研究実績の概要 |
本研究では一般にセラミクス材料により構築されてきた組積造壁を木質材料に置換することで高い耐震性を与え,木質耐震壁として積極的に利用する方法の可能性について,発展途上国の現地研究者との現地調査と検証実験を通して明らかにすることを目的とする.提案技術は木材を天然資源として保有する発展途上国一般に適用できるが,わが国と同様に地震国であり且つ森林資源が豊富なインドネシアを研究フィールドと設定し,提案技術の実現可能性を探索しようとするものである. 2023年度に実施した研究内容を小目的ごとに主担当者とともに示す. 【小目的①:木質耐震壁の有効性の国際共有(2023年度)】コロナ禍における日本-インドネシア間の国際交流はオンライン会議にとどまり,本研究の計画段階において,日本では研究が活性化している木質耐震壁の有効性検証を目的とする実験を進めてきたが,インドネシアの研究者に対面で公開するには至っていなかった.オンライン会議による事前ヒアリングによりインドネシアは木質材料の天然資源が豊富であるが,建材としての利用は普及していないことが確認されていたため,研究初年度に本研究組織のすべての関係者に対面で木質材料の高い耐震性を示すわが国の実験を公開し,研究計画の実現可能性と将来性を肌で感じて理解する機会を設けた.(すべての関係者) 【小目的②:木質耐震壁を構成する木質材料の選定(2023-2024年度)】 本研究を提案するにあたり,インドネシアでもCLTの入手が可能であることは確認していたが,具体的な材料は未選定であったため,初年度にその選定に着手した.これまでに,インドネシア国内の数少ないCLT製作業者を訪問し,材料特性に関する情報を入手した.この調査活動は2024年度も継続する.(真田,高橋,尹,Jafril)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度に当初計画した下記1),2)の研究活動,並びに,当初計画になかった下記3)の研究活動を達成したため. 1)本研究組織のすべての関係者に対面で木質材料の高い耐震性を示すわが国の実験を公開し,今後の研究計画について意見交換した.(すべての関係者) 2)インドネシアで入手可能なCLTの材料特性に関する基礎データの収集に着手した.(真田,高橋,尹,Jafril) 3)日本のCLTの材料特性と製作工程に関する基礎データの収集を並行した.(高橋,尹,鈴木,Sujan)
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに未達成の小目的について,主担当者,実施年度とともに示す. 【小目的②:木質耐震壁を構成する木質材料の選定(2023-2024年度)】 本研究を提案するにあたり,インドネシアでもCLTの入手が可能であることは確認しているが,海外共同研究者との事前意見交換で,高価なため他の材料の可能性も検討を要する旨の提案があった.そこで,例えば現地で普及する鉄筋コンクリート工事で用いられる木質型枠などを積層,接着して試作(自作)する方法なども試みる.目標性能は本研究の枠組で精査し合理的な材料を選定する.材料試験は現地で実施するのが合理的であり,準備はオンライン会議を併用し,試験実施に1週間程度の渡尼を計画する.(真田,高橋,尹,Jafril,Syafri) 【小目的③:木質耐震壁の試作(2024-2025年度)】小目的②で選定する木質材料の力学特性に基づき木質耐震壁を試作する.暫定案として組積体の凹凸を利用するインターロッキング型の木質壁を採用する場合,ブロック形状は無限のため,耐震壁の設計は本研究の枠組で継続的に検討する.試作時には1週間程度の渡尼を要する.(高橋,Maidiawati) 【小目的④:木質耐震壁の構造性能評価(2025-2026年度)】2025年度に小目的③で開発する木質耐震壁の構造実験を海外共同研究者の所属組織が所有する実験施設で実施し,構造性能を明らかにする.実験準備と実施にそれぞれ2週間程度の渡尼を要する.(真田,高橋,尹,Sujan,Jafril,Maidiawati,Syafri)2026年度に実験結果を評価する理論解析,数値解析の方法を検討し,実務設計に適用可能な状態を整備するまでを本研究の4年間の検討範囲とする.(真田,鈴木,Jafril,Maidiawati)
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の一部による能登半島地震の災害調査を優先したため,これらの研究分担者の渡尼がかなわず,次年度以降に再調整することとしたため.
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