研究課題/領域番号 |
23KK0091
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高藤 誠 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (50332086)
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研究分担者 |
杷野 菜奈美 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 産学官連携研究員 (80816489)
龍 直哉 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主任 (90743641)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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キーワード | キラル超分子ゲル / ヘリカルフォルダマー / 円二色性 / 円偏光発光 / ポリマーコンプレックス / 一次元分子集合体 / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
本研究では、可変・超増幅円偏光機能を封じ込めたナノ素子の創成を目的として、超分子ナノ集合体やヘリカルフォルダマーをポリマーで被覆するソフトカプセル化技術の確立と封じ込めた超分子キラルナノ空間の円偏光機能の制御と安定化について検討している。今年度は、ナノチューブなどの1次元超分子ナノ集合体を形成するグルタミド誘導体にカチオン性のピリジニウム基を導入し、静電的相互作用を介して両末端にアニオン性基を導入したポリマーとの複合化(ソフトカプセル化)について検討した。その結果、グルタミド誘導体から形成される超分子ナノチューブが形態を維持したまま、ポリマー鎖によりカプセル化されることが明らかとなった。また、1次元的な超分子ナノチューブ-ポリマー複合体同志の物理的な絡み合いにより系全体がゲル化する現象が観察された。ポリマー鎖によりカプセル化されたチューブ状会合体中でグルタミド誘導体はキラル配向構造を維持していることが確認された。一方で、発色性・発光性の部位を導入した超分子ナノ集合体による円偏光機能の発現と制御について検討した。超分子ナノ集合体のキラル配向構造をホストテンプレートとし、シアニン色素やナノカーボンなどのゲストを分子間相互作用を介して複合化させることで、アキラルなゲストへ円偏光機能を誘起させることを確認した。超分子ナノ集合体のキラル配向構造や発色性・発光性の部位との結合状態、複合化状態に依存した円偏光機能の可変制御性の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
可変・超増幅円偏光機能を封じ込めたナノ素子の創成を目的とする本件において、現在までに超分子ナノ集合体のポリマー被覆によるソフトカプセル化技術の確立ならびに超分子ナノ集合体によるキラル空間が発現する円偏光機能の制御について、当初の予定どおりに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ソフトカプセル内部での超分子キラル空間が発現する円偏光吸収・発光機能の評価:円二色性スペクトル(CD)、円偏光発光スペクトル(CPL)を用いて、ソフトカプセル化した超分子キラル空間の円偏光機能を評価する。超分子ナノ集合体およびヘリカルフォルダマーの円偏光機能に関する知見を駆使し、被覆したポリマーネットワークからの構造摂動による影響を詳細に評価する。相転移挙動、構造反転現象は、円偏光機能の可変性を生みだすため、ソフトカプセル化前後の超分子ナノ集合体およびヘリカルフォルダマーの相転移現象等を熱分析(DSC)、UV-vis、CDスペクトル測定により詳細に評価するとともに、ソフトカプセル化技術へとフィードバックし、最適なカプセル化法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたボルドー大学への渡航を先方の都合により変更したため、次年度に渡航を計画することとした。次年度の予定については調整中であり、次年度中に研究の打合せならびに進捗状況報告と分析技術の確認のための渡航を計画する。
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