研究課題/領域番号 |
23KK0096
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
元川 竜平 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (50414579)
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研究分担者 |
田端 千紘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (60783496)
Micheau Cyril 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 博士研究員 (70961291)
上田 祐生 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (80806638)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2029-03-31
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キーワード | 中性子散乱 / アクチノイド / 分離 / 抽出 / 放射光 |
研究実績の概要 |
本年度は、仏国マルクール分離化学研究所から共同研究者のDamien BOURGEOIS博士が代表者の研究機関(原子力機構 原子力科学研究所)を訪問している。本研究プロジェクトに参画する我が国側の研究者(4名)とのキックオフミーティングを行うことで、今後の研究計画等について詳細な議論を行った。この訪問では、原子力科学研究所内の研究用原子炉JRR-3に設置されている中性子小角散乱装置を用いた実験を共同で行っている。硝酸濃度の異なる6価のウラン水溶液とマロンアミド型抽出剤(N,N′-dimethyl-N,N′-dibutyl-2-tetradecylmalonamide; DBMA)を含むトルエン、もしくはヘプタン溶液を接触させた後、その有機相を取り出して中性子小角散乱測定を行った。ウラン抽出量の増加と小角散乱強度の増加について注目すると、抽出剤の濃度が0.2Mでは互いの関係性が確認されるものの、0.6Mでは小角散乱強度は変化しないことがわかった。また、[DBMA]=0.2 Mかつ[HNO3]=3 Mではウランの濃度増加にしたがって、3段階の溶液構造をつくることが示された。すなわち、ウラン抽出錯体が一様に分散した状態から、それらが凝集して1次クラスターを形成した状態、さらに、1次クラスターが凝集することで超クラスター構造を形成することがわかった。このような変化は、リン酸トリブチル(TBP)による4価のジルコニウムイオンを抽出した場合にも観察されていることから、多くの抽出系でもこのような構造体がつくられる可能性があると考えている。また、パラジウムとネオジムのマロンアミドによる抽出分離において、界面と有機相のナノ構造に着目することで、抽出におけるイオン選択性と抽出速度の関係を明らかにする研究を進めた。その成果は、Journal of Molecular Liquid誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、我が国側から仏国側への出張で実験や議論を行った実績はないが、BOURGEOIS博士の原子力科学研究所の滞在やWEB会議を通じて頻繁に議論を行い、共同研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
我が国側の研究者が相手国を訪問しながら実験と議論を進めていくのみならず、仏国側の研究者も原子力科学研究所を訪問して中性子散乱実験を共同で行う。WEB会議を活用しながら日常的にコミュニケーションをとることで、協力関係を深めながら研究を進めていく予定である。来年度は、抽出錯体溶液の表面張力測定や、アクチノイド錯体溶液のX線小角散乱測定を仏国側で実施することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、令和6年度にフランス側へ出張することを予定してる。そのため、令和5年度の旅費を令和6年度以降で使用するために次年度使用額が生じている。
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