研究課題/領域番号 |
23KK0149
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
冨樫 庸介 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80758326)
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研究分担者 |
長崎 譲慈 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (20955447)
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 腫瘍浸潤リンパ球 / クローン性造血 |
研究実績の概要 |
ゲノム異常を有する造血細胞が健常者にもクローン性造血として見られることが報告されており、造血器腫瘍だけではなく固形腫瘍などでも注目されている。一方で、がん免疫療法の効果や副作用との関係性についての報告はほとんどなく、直接的な影響を論じたものは一切存在しない。そこで、がん免疫療法の効果や副作用とこのクローン性造血の関係性を明らかにする目的でクローン性造血に関しての解析に長けている海外研究者と共同で本研究を開始した。まず初年度には渡航のうえで我々の持つ免疫細胞培養解析技術と海外研究者の有する造血幹細胞培養技術とシングルセル解析技術に関して相互に技術交換を行った。さらに海外でこそ取得可能な検体に関しての打ち合わせも同時に行っている。既に我々が有する検体を予備的に解析したところ、免疫細胞に複数の異常が見出された。解析したクローンについては、解析済だったシングルセルシーケンス結果と照らし合わせることで、抗腫瘍免疫応答にとって極めて重要なものも含まれていた。そして同定した異常そのものも、既報などから生物学的に意味のあるものとして疑われた。今後は実際にがん免疫療法の効果に関わるか、もしくはそのもの自身が腫瘍増殖などに影響するか、などについての機能解析をマウス等で行う予定である。さらに数も増やして解析し、ドライバー遺伝子ごとのクラスタリングや変異シグネチャー解析を行って、クローン進化の樹形図作成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
習得した解析手法で予備検討で解析した結果からいくつかの異常を実際に同定できた。さらにサンプル収集に関しての打ち合わせもできた。
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今後の研究の推進方策 |
習得した新たな手法に必要な試薬が本年度から本邦でも利用可能になるため、この手法で解析系を立ち上げ、実際に数を増やして解析を行い、クローン進化の樹形図の作成を目指す。また実験的検証に関しては当初の予定通り細胞療法に応用する実験系だけではなく、T細胞特異的な遺伝子組み換えマウスの作成まで考慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外で習得した技術が、昨年度は日本国内で販売していない試薬が必要な技術であったため、ラボ内に既にあった代用試薬で予備検討を行った。新しい試薬に関しては本年度の日本での販売が既に決まっており、今後購入して研究を進める予定である。
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