研究課題/領域番号 |
23KK0158
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
重村 克巳 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00457102)
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研究分担者 |
鷹尾 俊達 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (20752257)
前田 光毅 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20899843)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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キーワード | 前立腺癌 |
研究実績の概要 |
【目的】前立腺癌の一部は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)へ進行し、既存治療に抵抗性を示すため新規作用機序をもつ治療薬の開発が必要である。そこで、CRPCの増悪因子として知られ、細胞間接着を外すことで癌の転移に関わるタンパクであるA disintegrin and metalloprotease 9(ADAM9)に着目した。特にADAM9 の血中可溶体(soluble ADAM9: sADAM9)に対する中和抗体を用い、前立腺癌への抗腫瘍効果を検討した。 【方法】マウス由来アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞 (TRAMP-C2)、ヒト由来アンドロゲン依存性前立腺癌細胞(LNCaP)、非依存性前立腺癌細胞(PC-3、DU145)の4細胞を用いた。癌細胞の遊走・浸潤抑制効果の検討のために創傷治癒分析、浸潤分析を行った。メカニズム探索のために上皮間葉転換(EMT)に注目してウェスタンブロッティング(WB)を行った。 【結果】sADAM9中和抗体は各癌細胞の創傷治癒を有意に抑制し、その浸潤も有意に抑制した。WBでは、sADAM9中和抗体の投与によりTRAMP-C2とPC-3において上皮マーカーの発現が増加し、TRAMP-C2とLNCaP、DU145において間葉マーカーの発現が減少した。またTRAMP-C2とLNCaP、DU145においてEMTの誘導因子の発現も減少した。 【結論】sADAM9中和抗体は、主な癌転移メカニズムであるEMTの観点から前立腺癌細胞の遊走および浸潤を抑制した。さらに現在、本ADAM9のシグナル伝達系以外にどのような癌の増殖、浸潤、転移の抑制メカニズム探索のために、腫瘍細胞の免疫染色ならびにRNA-seq解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相手方台北医大側の責任研究者の部署異動により、研究エフォートに変化が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
中和抗体を用いた動物実験、ならびに抗体開発に向けた準備、そして開発を担う外注業者との議論を進めていく。同時に新規制癌メカニズム探索のために、in vivoサンプルの免疫染色ならびにRNA-seqを用いた検討を進めていき、新規バイオマーカーならびに治療ターゲットとなる分子の検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
相手側台北医大の主任研究者の学内での部署異動により、研究エフォートの変化が生じたため。
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