研究課題
今年度は本共同研究の初年度にあたり、共同研究相手国・研究機関への連絡と調整、研究に関する打ち合わせ、研究に必要な消耗品の供与、実際の解析に関する指導を行った。ミャンマーにおいては2ヵ所と連絡、調整を取り、ヤンゴン小児病院では小児由来の全検体、ピンロン病院では血液検体に由来する黄色ブドウ球菌株を分離、保管することとし、その作業が2024年1月から開始されている。バングラデシュにおいても2ヵ所の共同研究先と連絡を取り、マイメンシン医科大学病院で全検体、首都ダッカのBIHS総合病院では血液検体に由来する黄色ブドウ球菌株を分離、保管することとした。菌株の収集は2024年3月から開始されている。バングラデシュでは今回の研究以前に共同研究先のマイメンシン医科大学病院で2年間にわたり収集されていた菌株があり、バングラデシュへの訪問に合わせてそれらの解析も行った。それらは170株の黄色ブドウ球菌であったが、MRSAは36%でありその8割がSCCmecIVを保有していた。それらの解析において特徴的であったのは、高病原性に関連するPVL遺伝子の陽性率の高さであり、MSSA(62%)のほうがMRSA(26%)より高率であった。MRSAの中に米国で優勢な市中感染型MRSAであるUSA300クローンが1株検出され、またリネゾリド耐性を付与するcfr遺伝子がMSSA1株で検出された。S. argenteusが2株同定(ST2250)され、これはバングラデシュで最初の報告となった。昨年10月に研究費の使用が可能となって以降、本研究の実施体制は今年度内に整えられ、予定通り進められている。
2: おおむね順調に進展している
バングラデシュ、ミャンマーの共同研究先とは連絡、調整が取れ、研究計画が確定し、研究対象となる菌株の収集が予定通り開始されているため。
研究対象となるブドウ球菌株はバングラデシュ、ミャンマーの共同研究先で現在収集、保管が進められている。2024年10月頃を目途に菌株の収集状況を確認するとともに、現地の共同研究者および日本側研究者により、それらの菌株の遺伝子学的解析を随時進めていく。
今年度は研究開始の年であり、解析対象の菌株がまだ多く集まっておらず、試薬等の消耗品の支出が予定より少なかったため。
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IJID Regions
巻: 10 ページ: 132-139
10.1016/j.ijregi.2023.12.006