研究課題/領域番号 |
23KK0179
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
|
研究分担者 |
菅原 順 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (00357261)
岩本 えりか 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40632782)
樽味 孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40825858)
塚本 敏人 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師(任期付) (70802099)
|
研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2029-03-31
|
キーワード | 脳循環機能 / 体循環機能 / 人種差 / 運動昇圧応答 / 循環器疾患発症リスク |
研究実績の概要 |
本国際共同研究では,欧米人と比較して日本人は,心血管疾患による死亡率が低いにもかかわらず,脳卒中による死亡率が非常に高い.この知見から.欧米人と異なり,心血管疾患発症リスク以外の脳循環生理要因の欧人との差異が,日本人の脳疾患発症リスクであるとの斬新な仮説を立てた.本国際共同研究では,日本及び米国で異なる人種の測定を行うことによりこの仮説を検証する.脳血管疾患発症リスクの人種間の差異について,環境・生活習慣要因を考慮した上で,運動効果や脳循環研究領域における検討は行われていない.本国際共同研究による仮説の検証は,日本人に最適な脳血管疾患予防法の確立の一助となる.人種間の体・脳循環機能の差異だけでなく,運動がこれら人種間の疾患発症やそのメカニズムの差異に及ぼす影響,さらに米国在住日本人の測定から環境・生活習慣の影響についても検討する.これらの研究結果から,心血管疾患及び脳疾患発症メカニズムの解明につながると考える.したがって,本研究の研究アプローチは,今までにない生理メカニズム解明のための新たな情報を提供する可能性を秘める. 本国際共同研究は2つの課題からなり,1年目から3年目にかけて,若年者を対象(日本人,白人米国人,米国在住日本人又は日系米国人,男女各10名)に脳疾患に関連する体・脳循環機能及び循環動態の測定を行い,脳疾患発症リスク要因の人種の差異を同定し,本交際共同研究の結果と先行研究の知見から脳疾患発症リスクの差異の原因を探る.本年度は研究期間の初年度であり,また採択から年度末まで期間が短いこともあり,初年度は,研究課題1の測定を日本と米国で行う為の実験の準備に終始した.アメリカの研究拠点となるテキサス大学とテキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターのBrothers教授,Fadel教授,Fu教授と実験の方法,計画等の論議を行い,実験計画の確認を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験を日本及び米国で行う.実験はすぐに行える環境であるが,両国間のデータの比較においては、いくつかのハードルを解決する必要がある。特に,海外研究拠点での測定では,研究の統一性が重要である.本国際共同研究は2つの課題からなり,1年目から3年目にかけて,若年者を対象(日本人,白人米国人,米国在住日本人又は日系米国人,男女各10名)に脳疾患に関連する体・脳循環機能及び循環動態の測定を行い,脳疾患発症リスク要因の人種の差異を同定し,本交際共同研究の結果と先行研究の知見から脳疾患発症リスクの差異の原因を探る.本年度は,本国際共同研究の初年度であり,測定を日本と米国で行う実験の準備に終始した.実験を行うにあたり,両国での研究の統一性(測定機器,測定方法,データ解析の統一性)について両国間で詳細な打ち合わせをする必要があった.両国間でのWEBによる会議、さらに初年度2月に渡米し,研究拠点となるテキサス大学とテキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターのBrothers教授,Fadel教授,Fu教授と面会して,実験の方法,計画等の論議を行い,実験内容の確認,倫理委員会への書類の準備,測定方法,測定機器の統一性の確認を行った.2年目は,測定を日本で開始するが,日本において測定の準備,また測定のプレ実験行い本実験を行う準備を行った.
|
今後の研究の推進方策 |
本国際共同研究は,2つの研究課題からなるが,1年目から3年目の研究課題は,若年者を対象(日本人,白人米国人,米国在住日本人又は日系米国人,男女各10名)に脳疾患に関連する体・脳循環機能及び循環動態の測定を行い,脳疾患発症リスク要因の人種の差異を同定し,本交際共同研究の結果と先行研究の知見から脳疾患発症リスクの差異の原因を探ることを目的とする.本年度は,2年目となり1年目の準備を経て,実際の測定を行っていく.申請者所属機関において,倫理委員会の承認が得られた後,日本の研究拠点において測定を開始しする.安静状態において,①呼吸循環諸量:心拍数,連続動脈血圧波形,呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2),②脳循環の測定:1)脳循環動態,2)脳循環調節機能:脳自己調節機能,脳血管二酸化炭素感受性,脳血管内皮機能(脳FMD),脳血管緊張,脳血管インピーダンス③体循環の測定:1)体循環動態,2)体循環調節機能,3) 動脈硬化度(脈波伝搬速度),4) 動脈伸展性,④脳画像検査:1)FLAIR画像による脳小血管病評価,2)Angiography画像による血管狭窄や形態異常評価,3)ASL画像やPhase-contrast MR画像による脳血行動態評価,4)T1強調画像による脳萎縮評価,5)拡散テンソル画像による白質線維統合性評価、6)Resting-state fMRIによる機能的結合性評価などを行う.また日本での測定が軌道に乗った段階で,米国の共同研究者を日本に招聘し,米国での測定を行うにあたりガイドラインの提示を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度は,本国際共同研究を遂行するにあたり,採択が年度中で研究期間が短く(6カ月程度),実験を行うまでに至らなかったのが次年度使用額が生じた理由である.本年度は,実験方法,特に測定機器,測定方法やデータ分析等の統一性の為の打合せ等,両国で実験を行う為の準備に終始した.しかしながら,次年度から実験を開始し,研究課題を遂行していく上で、本国際共同研究を行うにあたり頻繁な両国間の移動を行う.次年度の予算として当該助成金が必要である.
|