研究課題/領域番号 |
23KK0197
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
保坂 哲朗 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 教授 (50626190)
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研究分担者 |
山田 俊弘 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (50316189)
中林 雅 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 准教授 (70770858)
大庭 ゆりか 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (30816921)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2028-03-31
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キーワード | プランテーション / 熱帯林 / アブラヤシ / 生物多様性 / 生物学的防除 / 農業生態学 |
研究実績の概要 |
ヤシ油は現在世界でも最も多く生産されている食用油であり、その8割以上がマレーシアやインドネシアで生産されている。しかし、原料となるアブラヤシを生産する農園(アブラヤシ園)の多くは皆伐地に造成された大規模な単一植栽農園であり、大量の除草剤・化学肥料を投入するため、生物多様性の喪失や土壌の劣化が深刻であり、持続的な農園管理方法の確立が喫緊の課題である。そこで申請者らは、アブラヤシ園で家畜放牧による除草を導入することで、除草剤を不使用にする方法を提案する。これにより、アブラヤシ園において一定の下層植生と土壌条件を保持し、生物多様性の保全とアブラヤシの収量を両立できる可能性がある。本研究では、マレーシアのアブラヤシ園において家畜放牧区と除草剤使用区を設置し、大規模比較実験を行うことで、家畜放牧の効果と最適な放牧強度・家畜の組み合わせを明らかにする予定である。 初年度である2023年度は本研究課題の実施にあたり、連携先であるマレーシア・プトラ大学(UPM)と日本側研究者の間でのキックオフミーティングを行い、研究計画の確認と詳細の具体化を行った。また、調査地であるUPMキャンパス内のアブラヤシ園を視察し、家畜放牧区と除草剤使用区の設置案や放牧実験の方法について、農園管理者も交えて打ち合わせを行った。また、日本側研究者の間でも別途ミーティングを行い、キックオフミーティングや現地視察を踏まえた研究計画の修正や具体化などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は実質的に4か月間ほどしか研究期間がなかったため、まだ始動の段階であるが、1月に現地を訪問し、キックオフミーティングや現地視察を行えたことで、2024年度以降の調査開始に向けて、おおむね順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は実験区や家畜の準備、放牧前の状態の調査、放牧区での放牧の開始を予定している。 まず、年度前半に調査地であるUPMのアブラヤシ園に、6 haの放牧導入区(処理区:0.6 haプロット×10個)と3 haの除草剤散布区(コントロール:0.6 ha プロット×5個)の合計9haの実験区を設置する。また、家畜(ヤギ、ヒツジ、ウシ)を必要頭数購入し、シェルターなどの簡易な飼育施設を設置する。そして、年度前半にはこれらの実験区の生物多様性(下層植生、土壌動物、昆虫、哺乳類)、土壌状態(土壌硬度、土壌水分量、土壌pH)、アブラヤシの健全度・生産量について評価する。 年度後半には、放牧区での放牧を開始する。放牧区の小プロット境界には電気柵を設置し、家畜の組み合わせや放牧強度を小プロットごとに変える。除草剤使用区は、従来通りの除草剤を使用した雑草管理を継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
連携研究機関であるマレーシアプトラ大学側の事務手続きの遅れにより、2023年度の海外送金に遅れが生じたから。未送金の2023年度分は、2024年度分と合わせて、2024年度の早い段階で送金する予定である。
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