研究課題/領域番号 |
24000004
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
手嶋 政廣 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40197778)
|
研究分担者 |
窪 秀利 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40300868)
深沢 泰司 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60272457)
井岡 邦仁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80402759)
山本 常夏 甲南大学, 理工学部, 准教授 (40454722)
戸谷 友則 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90321588)
|
研究期間 (年度) |
2013 – 2016
|
キーワード | 宇宙線物理 / ガンマ線天文学 / 高ニネルギー宇宙物理 / 超新星残骸 / 活動銀河核 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、MAGIC 望遠鏡(50GeV-10TeV)とFermiガンマ線衛星(100MeV-100GeV)を使い、5桁にわたる広帯域(100MeV-10TeV)で、銀河系内外の多くの極限的な天体を観測し、加速、ガンマ線放射の現場を今までにない精度で捉え、宇宙線の起源を解明することを目的とする。さらに、高エネルギーガンマ線天文学の将来へむけ、CTA計画(大規模チェレンコフ望遠鏡計画)の準備研究として、CTA23m大口径チェレンコフ望遠鏡プロトタイプを欧州グループと共同で建設している。 MAGIC 望遠鏡により、2012年度-2015年度には、1ES0033+595(z 不明), RX J1136.5+6737 (z=0.1342), RBSO723(z=0.198), H1722+119(z>0.17), MS1221.8+2452 (z=0.218), S3 O218+35 (z=0.944), PKS 1441+25 (z=0.939), S2 0109+22(z=0.265)等の活動銀河核から>100GeVガンマ線放射を発見した。深宇宙からのガンマ線観測もz=1の距離まで伸びてきた。またIC310から1分スケールで激しく変動する極めて明るいフレアーを観測し、ブラックホールのごく近傍で粒子加速が起こっていることを明らかにし、サイエンス誌に発表した。また、カニパルサーからのガンマ線パルス放射が1TeVを超えるエネルギーまで伸びていることを発見した。 また、2012-2015年度では、CTA大口径望遠鏡1号機の建設へ向けて、分割鏡、アクチュエーター、およびPMTクラスター、データ読みだし回路の量産、品質管理をすすめた。また、試作をおこなった分割鏡の能動制御光学補正システムでは、レーザー、CMOS カメラを使い実験室の環境、ドイツ・マックスプランク物理学研究所裏庭に設置されたテスト構造体で5秒角以下の精度で分割鏡方向を制御できることを実証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MAGIC 望遠鏡は2013年のアップグレード終了後、今までにない高い性能(検出限界0.6% Crab Flux)で順調に観測を続けている。複数の活動銀河核、超新星残骸からの>100GeV ガンマ線放射を発見している。z~1の遠方活動銀河書くを二つ観測し、>100GeV ガンマ線による深宇宙の観測が急速に進み始めた。CTA大口径望遠鏡1号基の起工式を2015年10月にスペイン・ラパルマにて開催し、2016年度の運転開始を目指している。また、本事業による大口径望遠鏡1号基の研究開発の成果が認められ、2-4号基の建設が平成28-29年度施設整備費として認められ、これらの建設に関する調印式を2016年4月に東大宇宙線研とカナリ宇宙物理学研究所との間で交わした。2018年のCTA北大口径望遠鏡4基の完成を目指すことになる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、以下のように研究を推進する。 ・MAGIC, Fermiでの超新星残骸、活動銀河核の観測を継続する。 ・活動銀河核からのガンマ線に宇宙線陽子由来の信号を探索する。IceCubeで測定された超高エネルギーニュートリノカタログとの相関を調べる。 ・CTA大口径望遠鏡1号基の建設をすすめる。①分割鏡、②PMTクラスター、③読み出し回路、およびそれらの付属部品の量産、品質管理を行い、2016年度Q3, Q4で、現地での設置作業をすすめる。 ・CTA大口径望遠鏡の計算機シミュレーションを進め望遠鏡性能を最大限に引き出す解析方法を確立する。 ・CTA大口径望遠鏡1号基のコミッショニングを行い、設計性能を満たしていることを確認する。 ・並行してCTA大口径望遠鏡2-4号基の建設をスペイン・ラパルマで進め、本事業終了後になるが大口径望遠鏡4基のアレイを完成し、20GeV~3 TeV領域で世界最高感度を達成し、高エネルギーガンマ線による北半球の天空のディープサーベイを開始する。
|