研究課題/領域番号 |
24000011
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
熊谷 泉 東北大学, 大学院工学研究科, 名誉教授 (10161689)
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研究分担者 |
梅津 光央 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (70333846)
津本 浩平 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90271866)
田中 良和 北海道大学, 大学院先端生命科学研究院, 准教授 (20374225)
真壁 幸樹 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (20508072)
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研究期間 (年度) |
2013 – 2016
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キーワード | 分子認識 / タンパク質 / ナノバイオ / バイオテクノロジー / 抗体 |
研究実績の概要 |
本研究では、様々な分子構造を認識でき得るタンパク質の抗体分子に着目し、その機能抗体断片を構成要素として接合対象素材によらず素材間をナノレベルで正確に接合・アセンブリ制御できるバイオインターフェイス分子を創出するプラットフォーム技術を開発する。 そのために、本年度は下記の研究を行った。 (1) 二重特異性抗体を用いたがん細胞傷害試験 ①diabody型 : これまで作製した104種のdiabody型二重特異性抗体についてがん細胞傷害試験を行い、抗体の物性と細胞傷害活性の相関ルールを抽出することに成功した。構成要素としては、リンパ球結合ドメイン要素としてはCD3に結合することが重要であり、がん細胞結合ドメイン要素としては、結合エピトープの箇所とそれに対する親和性の強度が重要であることが示された。 ②非diabody型 : がん特異的ラクダ抗体ドメインを融合した抗リンパ球一本鎖Fvの二重特異性抗体のがん細胞傷害試験として、がん細胞を三次元的に凝集させた腫瘍モデルを作製し、傷害試験を行った。その結果、の二重特異性抗体は腫瘍モデルに対しても優位な傷害活性を示すことが分かった。さらに、in vivoでの傷害試験もおこなって、in vitroとの相関も得られた。 (2) 二重特異性抗体を用いたナノ粒子アセンブリ これまで取得した有機・無機材料に特異的なペプチド・抗体を用いて、金属とセラミックスの粒子間の接合とアセンブリを行った。金と酸化亜鉛のナノ粒子のヘテロアセンブリにおいては、粒子が凝集しても金粒子由来のプラズモン共鳴が失活しない薄膜を作製することに成功し、金粒子と酸化亜鉛粒子の比率を変えることによってプラズモン特性も変化させるプロセスを提案することができた。さらに、その薄膜から金の多孔質膜を作製する手法も開発し、その触媒機能が従来よりも向上していることも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、これまで作製したがん治療用二重特異性抗体のがん細胞傷害試験を達成し、一部前倒しでそれからのルール抽出を達成することができている。in vivoでの活性評価においても、これまでよりも傷害性が向上した二重特異性抗体を取得することに成功しており計画通りの進捗と理解している。 また。工学材料特異的抗体に関しては、昨年度の課題であった工学材料特異的抗体から作製する二重特異性抗体の調製量の向上についても解決することができ、金属とセラミックス粒子のアセンブリをや触媒機能をもつ多孔質膜の作製に成功しており、目標を達成していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
二重特異性抗体の物性とがん細胞傷害機能間のルール抽出について、二次元培養をしたがん細胞を用いた傷害試験の結果を用いて行うことができた。今後は、より生体内の環境に近い腫瘍モデルを作製し、抗体の腫瘍浸透性や安定性も考慮したルール抽出を行っていく。 そして、ナノ材料間を繋ぐ二重特異性抗体に関しては、ナノ粒子間の架橋から異種材料からボトムアップに構築する機能性薄膜の構築を行い、ナノ粒子からボトムアップに機能性材料を構築する手法における抗体の物性と作製した材料の機能との相関ルールを抽出する。
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