研究課題/領域番号 |
24220003
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横尾 真 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (20380678)
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研究分担者 |
小野 廣隆 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00346826)
岡本 吉央 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00402660)
尾山 大輔 東京大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (00436742)
神取 道宏 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10242132)
櫻井 祐子 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (10396137)
岩崎 敦 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (30380679)
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
田村 明久 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50217189)
坂井 豊貴 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (50404976)
安田 洋祐 政策研究大学院大学, その他の研究科, その他 (70463966)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | マルチエージェントシステム / ゲーム理論 / 組合せ最適化 / ミクロ経済学 |
研究概要 |
本研究課題では,我が国の持続可能な発展のために,計算機科学とミクロ経済学の技術を統合/発展させ,経済的,社会的,環境的な観点からの要求をバランスした,希少な資源の望ましい配分を実現するメカニズムの設計理論を構築することを目的としている.具体的には,① 実現可能な資源配分メカニズムの設計技術,②資源配分メカニズムの解析技術,③ 資源配分メカニズムに関する表現技術を柱として研究を進める. 平成24年度は初年度に関わらず,分担者との共同研究活動を円滑に推進でき,多数の研究成果を輩出することができた.テーマ①に関しては,離散凸解析の手法を適用し,サプライチェーンの安定性について研究を行った.テーマ②では,不完全私的観測付き繰り返しゲームにおいて,均衡を求めることはこれまで未解決問題であったが,有限計画均衡と呼ばれる均衡概念を求める実現可能な手法を開発した.また,テーマ③では,施設配置ゲームにおける仁・シャープレイ値の計算等に関する研究を推進した. さらに,応用事例に関して,⑤周波数オークションについて,日本の第四世代の周波数オークションに適用可能なメカニズムの提案を行った.本研究成果は,マルチエージェント分野の最難関国際会議(AAMAS)に採録され,2013年5月に発表予定である.⑥ジョブマッチングについて,下限制約付きマッチングアルゴリズムの提案を行った. 全体活動としては,6月に第1回の全体会議として東京でキックオフミーティングを開催した.また,10月にキックオフシンポジウムを開催し,40名の参加者があった.3月には第2回の全体会議として研究会を開催し,海外研究協力者のスタンフォード大学 小島先生,大阪大学 佐野先生を招き,活発な意見交換を行った.また,分担者や関連研究者の研究発表会を定期的に開催し,研究交流を深めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度にも関わらず,研究成果として,雑誌論文を30件,学会発表を36件など,数多くの研究成果を輩出することができた.特に,不完全私的観測付き繰り返しゲームで均衡を求めることは,長年の未解決問題であったが,世界で初めて均衡を見つけることを保証するアルゴリズムの提案を行った.本研究成果は,ゲーム理論での難問に対して計算機科学技術を適用することで解決できたものであり,本研究課題の重要性を如実に示したものである.また,マルチエージェントシステムに関する最難関の国際会議にも採録される研究成果を出すことができている.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,前年度にスタートした研究項目を引き続き検討するとともに,次の研究テーマについて検討を行う.①離散凸解析を用いたメカニズムの設計について検討する.より具体的には,離散凸解析のアイデアを用いて,組合せ最適化問題の近似解法の提案を提案し,近似解をベースとした戦略的操作不可能性を保証するメカニズムを設計する.②繰り返しゲームを用いた談合の影響解析として,前年度に提案した手法を利用し,入札が繰り返し行われる際に出現する参加者間の協調的行動,すなわち談合の解析を行う.③参加者選好の記述方法の検討として,配分結果の外部性が存在する際に,参加者の選好を簡潔に記述可能で,かつ最適な配分の計算が現実的な時間内で可能となる記述方法について検討する.
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