研究課題/領域番号 |
24220004
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田村 秀行 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (10367998)
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研究分担者 |
斎藤 英雄 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90245605)
西浦 敬信 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70343275)
木村 朝子 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (20324832)
柴田 史久 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (80314425)
大島 登志一 立命館大学, 映像学部, 教授 (40434708)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 複合現実感 / 三次元音場 / 全天周映像 / 隠消現実感 |
研究実績の概要 |
研究進捗評価で「A評価」を得た後,H27年度は以下の研究を行った. (A) 音響班は前年度に設計した曲面型超音波スピーカの放射面を動的に制御することで,任意の放射特性を実現可能なフレキシブル超音波スピーカを開発した.さらに,床面間接スピーカによる残響臨場感の表現手法の考案や開発したフレキシブル超音波スピーカを複数台搭載した床面用および天井面用ベースユニットの製作を通じて,従来の音像プラネタリウム方式の音像表現能力を超える「ダブル音像プラネタリウム」方式の開発に成功した.映像班は上記の移動音源や複数人体験を前提として,本格的な視聴覚MRコンテンツ制作用に,移動感覚の強調手法を考案し,心理実験で客観的評価を行った. (B) 隠消現実感の要素技術開発と技術体系構築 (B-1) 静的な隠背景情報を利用するDR:立命館大学MR創像ラボラトリ内にDR実験専用スタジオの構築し,系統的かつ複合的なMR/DR実験ができる環境を維持している.手法的には「事前観測した3-DTMデータを用いたVDTM法」と「幾何形状を利用しないLight Field Rendering法」を 2本柱として,DR課題への適用を進化させた.屋外利用での照明環境にも耐え得る光学的整合達成手法の開発にも着手した. (B-2) 動的な隠背景情報を利用するDR:隠背景をRGB-Dカメラにより撮影し,体験者視点における隠背景画像を実時間生成・表示する手法を提案し,有効性を確認した.上記と並行して,線分特徴を用いて実時間カメラトラッキングするため独自の手法を開発し,テクスチャが極端に少ないシーンでも有効にカメラトラッキングできることを実証し,それを利用したDR応用を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマ(A)では,残響臨場や体験人数にあわせた表現手法の開発に加えて,音像を表現するための音響パスを飛躍的に増強できるダブル音像プラネタリウム方式の開発など,当初計画どおりに進展している. テーマ(B)では,後期2年間は,研究パワーを,DR要素技術開発からシステム開発,実世界での利用実験へとシフトすることにした.(B-1)は,最終年度に実行予定であったデモ・システムの開発,外部発表の一部を,「前倒し」して遂行した.当該分野最高峰の国際会議ISMAR2015に出展し,Best Demo Awardを受賞した.(B-2) も計画通り順調に研究を進めた.さらに,平成26年度までに築いて来たミュンヘン工科大学との連携を推進するために平成27年度末に教員と学生を派遣し,これを契機に本研究成果をベースとした共同研究を開始した.さらに,南オーストラリア大学とは共同研究成果を国際会議等に発表し,それを更に発展させている.
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は本基盤研究の最終年度であるので,研究進捗評価で受けた指摘を考慮しつつ,外部公表を意識した形での研究成果の集約に邁進する. ■テーマ(A) Xドーム内において没入型映像&音像空間を体験可能なコンテンツ制作を行う.H27年度の研究成果であるダブル音像プラネタリウム方式による反射音線パスの増加,ならびに床面間接スピーカによる残響臨場感の構築を基に,Xドーム内において没入型映像&音像を多人数が同時に体験可能な空間を構築する.特に前年度改良した床面設置ベースユニットならびに新設した天井設置ベースユニットの連携を柱に,映像と音像の親和性の高いコンテンツ制作に挑戦し,その過程と結果でトータルな有効性を評価する. ■テーマ(B) (B-1) 上記デモ・システムの開発,技術展示の際に見つかった新たな研究課題,「DR処理結果を立体視した際に生じる両眼視野不整合の軽減」「画像ベース法とセンサベース法を融合した幾何位置合わせ手法」に取り組むことにした.最終年度は,これらの手法の完成度を高めるとともに,下記(B-2)の研究成果との融合も図る.また, DR標準画像データセットに関しては,当初の予定通り,本年度中にVer.1を完成させ,研究期間終了後に公開する. (B-2) 本研究の成果の実応用事例として,前年度までに実現したライブ透過型DRの画質を高めるために,複数のRGB-Dカメラを併用し,隠背景の3次元構造を効果的にモデル化する方法を進化させる.また,屋外等,RGB-Dカメラを利用できない状況におけるライブ透過型DR実現のために,多視点RGBカメラで撮影した隠背景に対して,領域分割技術と平面走査方式による視点変換による手法の研究を引き続き進める。そして,これらの性能評価については,立命館大学のDR研究専用スタジオをより有効活用し,研究成果の高度化を進める.
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