認知記憶について、1)サル大脳の大域的情報処理機構を単一細胞活動レベルにまで遡って明らかにした。特に、領野間伝達により記憶信号を形成する過程が、従来の考えとは異なり、「前駆コード生成→増殖」により実現することを示し、新しい概念を創出した。2)こうして同定された神経回路の動作が行動に与えるインパクトを、当該領域の神経活動に対する侵襲的介入によって立証した。特に、メタ記憶に関してその大脳中枢が背外側前頭葉9野に存在することを示した。これらの成果により、メタ記憶のような意識の根幹に位置する事象の起源を、単一細胞レベルから行動レベルに至る首尾一貫した因果的なメカニズムとして理解することを可能にした。
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