研究課題
本研究では、人間活動の影響を強く受ける東アジアとその風下域である西部北太平洋の大気エアロゾルの焦点を当て、その化学組成と吸湿特性の関係をあきらかにすることを目的とした。小笠原諸島・父島で2001年より2012年まで採取した海洋エアロゾルの吸湿特性をタンデムDMA吸湿特性装置にて測定し、その吸湿成長率(Gf)と化学組成の関係を解析した。エアロゾル試料を水抽出しネブライザーにより生成した粒子のGfをエアロゾルの化学組成比較した結果、Gfは水溶性有機物(WSOC)の割合の増加とともに減少することを発見した。この結果は、有機物が微粒子の吸湿特性を低下させていることを意味している。特に春のカルシウム濃度が高い試料では、Gfは低くなることを見いだした。その理由としてシュウ酸カルシウムの生成により粒子の水溶性が減少することを提案した。また、海洋エアロゾル中に無機イオンの長期変動を解析したところ、硫酸塩の濃度が2006年までは増加傾向を示したが、その後、減少に転じた事を発見した。この減少は中国における火力発電所の脱硫装置が本格的に稼働した時期と一致しており、発生源における硫黄排出削減が西部北太平洋の大気質に記録されていることが明らかとなった。一方、シュウ酸など低分子ジカルボン酸等には減少傾向は認められず、むしろ増加傾向を示した。バイオマス燃焼のトレーサーであるレボグルコサンの増加傾向から、(1)森林火災・バイオマス燃焼の増加、(2)植物起源のイソプレンなどVOC放出量の増加が示唆された。更に、シュウ酸の安定炭素同位体比(δ13C)は夏に増加する季節変動を示すことを発見した。シュウ酸の光分解による同位体分別が起こっていることが強く示唆された。一方、シュウ酸のδ13Cは12年間で3‰減少したことから、陸起源有機物の輸送が強化されており、北太平洋の大気質が気候変動の中で変化している事が解った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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